先進医療特約をおすすめする理由

医療保険やがん保険に加入している、あるいは加入を検討しているのであれば、先進医療特約は付けておくことをおすすめします。先進医療特約を活かすためにはある程度の知識も必要なので、この記事ではそれらの点について解説します。

FP横山

先進医療なんて使わないから不要だと言う人もいますが……

先進医療の基礎知識

先進医療とは

先進医療とは新しい治療法や検査法のうち、厚生労働省が健康保険を使えるようにすべきか検討している段階のものをいいます。

指定されている先進医療は厚生労働省ウェブサイトにある以下のページで調べられます。2018年8月現在で92の技術が先進医療として指定されています。
参考:先進医療の各技術の概要|厚生労働省

注意
用途別に列挙されていますので、技術の数だけで言えばもっと少ないです

先進医療を受けたときの自己負担

先進医療を利用したときの費用は基本的に自己負担ですが、一般診療と共通する費用(診察、投薬など)については健康保険が使えるので3割負担となります。高額療養費制度ももちろん使えます。

この図では先進医療の費用の総額は100万円ですが、うち80万円については一般診療と共通する内容なので、健康保険が適用されるということです。

医療保険やがん保険に先進医療特約をつけていると、図において「先進医療部分」とされている部分20万円(技術料とも呼ばれます)を保険会社に負担してもらえるということです。

※高額療養費制度については以下の記事をご覧ください。
医療保険やがん保険の加入を検討する前に、必ず知っておくべき高額療養費制度について

先進医療の費用はさまざま

先進医療という言葉のイメージから何となく高額な費用のかかる技術ではないかと考えてしまうでしょうが、実際は無料のものもあれば数百万円の費用がかかるものもあります。

たとえば御茶ノ水にある順天堂病院では多くの先進医療を実施しています。その費用を一部、例示すると次のとおりです(技術料のみです)。
参考:順天堂病院の先進医療|順天堂病院

  • 角膜ジストロフィーの遺伝子解析・・・19,780円
  • 多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術・・・397,280円
  • ペメトレキセド静脈内投与及びシスプラチン静脈内投与の併用療法・・・2,290円
  • パクリタキセル静脈内投与(1週間に1回投与するものに限る)及びカルボプラチン腹腔内投与(3週間に1回投与するものに限る)の併用療法 上皮性卵巣がん、卵巣がん又は原発性腹膜がん・・・6,110円
  • 家族性アルツハイマー病の遺伝子診断・・・30,000円
  • コレステロール塞栓症に対する血液浄化療法・・・0円
  • MRI撮影及び超音波検査融合画像に基づく前立腺針生検法・・・110,160円

思ったより安いというイメージをもった人のほうが多いのではないでしょうか。

費用負担が高額な先進医療の例

保険会社がよく例に挙げるのが重粒子線治療と陽子線治療です。これらはがんの治療のために用いられる放射線治療です。

重粒子線治療や粒子線治療は技術料として200万円~300万円程度の費用がかかります。

たとえば群馬大学重粒子線医学研究センターでは、その技術料として放射線の照射回数にかかわらず314万円の技術料がかかります。
参考:治療費について|群馬大学重粒子線医学研究センター

平成28年7月1日~平成29年6月30日までの実績で最も金額が高いのは、「オクトレオチド皮下注射療法(先天性高インスリン血症)」の5,410,269円です。ただし、現在はこの治療法が先進医療とされるのはきわめて限定的で、費用負担もありません。
参考:平成29年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について|厚生労働省

医療保険やがん保険に先進医療特約をつけていると、こうした費用を保険会社から負担してもらうことができるので、いざというときはとても役立つというわけです。

先進医療特約で注意すべき点

先進医療は健康保険が使えるようになったり、健康保険を適用するに値しないと判断されれば先進医療の指定から外れますので注意してください。

また、重粒子線治療や粒子線治療なら何でも先進医療に該当するわけではないという点です。これらの治療法でもすでに健康保険が使えることもありますし、先進医療に該当しない場合もあります。

例を挙げると、前立腺がんと頭頸部がん(口腔・咽喉頭の扁平上皮がんを除く)については2018年4月から健康保険が使えるようになっていますので、費用負担は一般的な病気とそう大きくは変わりません。
参考:九州国際重粒子線がん治療センター

また、健康保険が使える治療法も選べるという状況のとき、保険会社がすんなり保険金を支払ってくれるのかという点を私は気にしています。この点は調査中です。

先進医療特約は必要か

先進医療特約は、必ずしも必要とは言えません。しかし、医療保険やがん保険に入るのであればつけておくことをおすすめします。

先進医療は使わないから無意味という意見もあります。しかし、厚生労働省が発表している資料によると、2016年7月からの1年間で約32,000人に対して実施されています。
参考:平成29年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について

順天堂病院の例にもある「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」という先進医療は白内障の治療に用いられる技術ですが、これは少しずつ知名度が上がっており、実施している医療機関も増えています(ただし先進医療特約から給付金を受けるには、厚生労働省から指定されているところで医療を受けないとダメです)。

多焦点眼内レンズを両眼に用いると技術料で50万円近い金額がかかりますが、これが先進医療特約からすべて支払われるわけです。

これは私の推測ですが、先進医療を実施していない医療機関で治療を受けていると、こうしたことが案内されないのではないかと思います。だから、知っているか知らないかで差がつく可能性があります。

先進医療特約の保険料は月80円~100円程度ですから、「万が一のときに使えたらラッキー」くらいの感覚でつけておいたほうが良いです。

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先進医療特約を比較するポイント

先進医療特約の保障内容を比較するときは、以下の点をみてください。

  • 保険金額
  • 保険金額については通算で2,000万円を上限としているものが多くなっています。

    また、複数種類の給付金を支払うタイプもあります。例を挙げますと、住友生命の「新先進医療特約」では「先進医療給付金」のほかに「先進医療保障充実給付金」という2種類の給付金を受け取ることができます。
    参考:新先進医療特約|住友生命

    名目については特に関係ありませんので、先進医療を受けることになったときに総額でいくら受け取れるのかという点で判断してください。

  • 保険料
  • 保険料については、医療保険につける場合は月100円程度、がん保険につける場合は80円程度とみておけば良いです。各社で大差ありませんので保険料の違いは気にしなくても良いでしょう。

  • 直接支払い制度があるかどうか
  • 病院へ支払う医療費は通常、自分で負担してから保険会社に請求し、後日受け取るという手順をふみます。しかし、高額な技術料が発生する先進医療を受ける場合、その費用を一時的とはいえ支払うのが困難ということもあるでしょう。

    そんなときのために、多くの保険会社では「直接支払い制度」というものを設けています。つまり、給付金を受取人に支払うのではなく、医療機関に直接支払う仕組みです。これができない保険会社の方が今は少ないと思いますが、支払いが心配なら加入する前に確認してみてください。

  • 終身型か更新型か
  • 医療保険やがん保険を終身タイプで契約していても、先進医療特約は10年更新型ということがあります。更新型だと更新のときに保険料が上がりますが、先進医療特約については当面、あまり気にしなくても良いでしょう。

先進医療保障のみで加入できる保険もある

損保ジャパン日本興亜ひまわり生命が販売している「Linkx coins(リンククロスコインズ)」は、先進医療保障のみで加入することができます。保険料は月に500円で、通算2,000万円まで保障してくれます。
参考:リンククロスコインズ|損保ジャパン日本興亜ひまわり生命

「Linkx coins」の特徴は先進医療だけでなく臓器移植も保障している点です。保障されるのは心臓・肺・肝臓・膵臓・小腸・腎臓の移植術を受けた時です。

臓器移植を保障する保険というのもあまり聞きませんので、人によっては先進医療と臓器移植が保障されるのは魅力的に映るかもしれません。興味のある人は検討してみてください。

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先進医療特約に重複加入はできるか

医療保険とがん保険を別々の保険会社で加入している場合、それぞれに先進医療特約をつけることができます。つまり重複加入ですね。

このような状態で先進医療を受けた場合、両方の保険会社から給付金を受け取ることができます。例えば重粒子線治療を受けて300万円の技術料が発生した場合、受け取れる給付金は600万円ということです。

これを狙うため、あえて医療保険とがん保険を別々の保険会社で契約する人もいますが、そこまですることにあまり意味はないでしょう。

先進医療Aと先進医療Bの違い

先進医療A(2項)に指定される医療技術と先進医療B(3項)に指定される医療技術の違いは、厚生労働省の資料で説明されています。
参考:先進医療制度の概要|厚生労働省

これを見る限りでは、先進医療Aよりも先進医療Bのほうが、よりその適用を慎重に行う必要がある技術ではないかと考えられます。

おわりに

先進医療を実際に受ける確率はそれほど高くないかもしれませんが、治療が難しい病気にかかったとき、先進医療で指定を受けている治療法に可能性を見出すことがあるかもしれません。先進医療特約はこうしたときに役立つ特約です。

先進医療の中身は入れ替わるので将来、特定の病気に有望な治療法が対象になる可能性もあります。そうしたことは予測できませんし、決して負担に感じるような保険料ではないでしょうから、迷うならつけておけば良いでしょう。

先進医療特約を活かすには使い方についてちょっとだけ知識が必要と言えますので、この記事に書いたことは最低限、知っておいてほしいと思います。