がん保険に診断一時金のみで加入するならいくら? 200万円がおすすめ

がん保険は医療保険と違い、「診断一時金(診断給付金)」があるのが特徴です。診断一時金は、がんと診断確定されると受け取れるまとまったお金で、使い勝手が良いためFPからの評価も高いです。そこで、この記事ではこの診断一時金をいくらにすべきか解説します。

FP横山

ずばり、200万円というのが1つの目安ですね。

がん保険には診断一時金(診断給付金)がある

がん保険の給付金の種類

まず、がん保険の基本から確認しておきましょう。がん保険の給付金は、主に以下のようなものがあります。

  • 診断一時金
  • 診断一時金は、がんと診断確定されるとまとまったお金(50~300万円が一般的)を受け取れるものです。進行がんである悪性新生物と診断確定された場合のみ給付金を受け取れる商品と、上皮内新生物(上皮内がん)でも給付金を受け取れる商品があります。

    また、上皮内新生物の場合、悪性新生物と診断確定されたときの給付金より少なく(10%~50%)している商品と、同額にしている商品があります。

    なお、上皮内新生物は粘膜の最表層にとどまっており浸潤していないため、適切な治療を施せば治ると考えて良いです。そのため、悪性新生物と同額の給付金を受け取る必要性はないと言えるでしょう。上皮内新生物については以下の記事を参考にしてください。
    参考:上皮内がん、上皮内新生物について|保険医学総合研究所
    参考:知っておきたいがんの基礎知識|国立がん研究センター がん情報サービス

  • 入院給付金、通院給付金
  • 入院給付金や通院給付金は、がんの治療を目的として入通院した日数に応じて給付金を受け取れるものです。通院給付金は入院を前提としている商品と、入院しなくても通院だけで受け取れる商品があります。

  • 手術給付金、抗がん剤治療給付金、放射線治療給付金
  • 手術給付金、抗がん剤治療給付金、放射線治療給付金は、それぞれの治療を受けて所定の要件を満たすと受け取れるものです。

  • 先進医療給付金
  • 先進医療給付金は、厚生労働大臣が指定している先進医療を受けたときに、その固有の費用(技術料といいます)を保険会社が負担してくれる給付金です。

診断一時金の意義

仮に、上記の給付金がすべてセットになったがん保険に加入すると、診断一時金は他の保障と重複すると言えます。

ただ、診断一時金はがんと診断確定された時点で受け取れるというメリットがあります。入院給付金などの給付金は治療を終えないと受け取れませんが、診断一時金は治療内容に左右されず受け取れるので、使い勝手が良いのです。

そのため、入院給付金や抗がん剤治療給付金などはセットせず、診断一時金のみで加入するというのも1つの加入の仕方です。私はこの入り方をおすすめしています。

がん保険診断一時金(診断給付金)はいくらにすべきか

仮にがんの保障を診断一時金だけでまかなうとした場合、いくらにすべきでしょうか。その答えは、実際にがんにかかった人がいくらくらい治療にお金を使ったのかというデータから見当をつけることができます。そこで、アフラックと市民医療協議会が行ったアンケートの結果から考察してみます。

アフラックが実施したアンケート結果

アフラックでは2011年に、全国で行ったがんに関するセミナーに来場した人を対象にアンケートを行っています。そのうち、実際にがんにかかったことがある人にがんの治療費を尋ねたところ、以下のような結果が出ています。

これを見ると、200万円程度以内で約85%の人がおさまっています。

市民医療協議会が実施したアンケート結果

市民医療協議会では2010年に、がん関連の患者団体に所属しているがん患者やその家族に対するアンケートを行っています。レポートの42ページに掲載されている、がん治療やその後の後遺症軽減のために支払った費用(最も費用のかかった1年分で、自己負担額)について、アフラックのレポートと同じようにまとめたところ以下のようになりました。

治療費人数
50万円未満380人
50~100万円未満317人
100~200万円未満233人
200~300万円未満81人
300万円超117人
合計1128人

両者を比較すると、かなり似た結果になっていることがわかるのではないでしょうか。

アフラックのアンケートでは回答した人がどんながんにかかったのかが不明ですし、市民医療協議会のアンケートでは乳がんと血液・リンパのがんが約半数を占めているため単純比較はできません。

しかし、おおよその数値が似ていることからこれが一般的な傾向と推測しても、乱暴とは言えないのではないでしょうか。

診断一時金は200万円で80%以上が対応可

以上の結果から、200万円あれば80%以上のケースで対応できることになります。不足分は貯蓄でまかなってもいいでしょうし、貯蓄がある程度あるなら最初から100万円で加入したり、途中で減額(一部解約)したりするという選択肢もあります。

ただ、診断一時金では対応しづらいケースもいくつかあります。次に、その点について解説します。

一時金で対応しづらいケース

がん保険の診断一時金で対応しづらいケースには、以下のようなものがあります。

自由診療を受けるケース

健康保険が使える標準治療では完治が難しい場合、健康保険が使えない治療法のほうが体への負担が少ない場合、治療効果が高いと予想されるような場合などの理由で自由診療を受けることがあります。

国内未承認の抗がん剤を使う場合はかなり高額になることもあるので、このようなケースに備えるには自由診療を保障するタイプのがん保険が向いています。

急性白血病で長期入院するケース

急性白血病の治療では、半年~1年程度の入院が必要になることがあります。この場合、がん保険の入院給付金は日数無制限で受け取れるので、入院給付金の受け取れるがん保険なら対応できます。または、実費を保障してくれるタイプのがん保険でも対応できます。

慢性骨髄性白血病で生涯、抗がん剤を服用するケース

慢性骨髄性白血病の場合、急性白血病に移行させないようにするため生涯、高価な抗がん剤を服用する必要があります。

高額療養費制度の多数回該当が適用されても、年間で50万円程度(年収400万円程度の場合)の費用がかかりますが、治療が継続している限り給付金を受け取れるタイプのがん保険なら対応できます。
参考:一生飲み続ける慢性骨髄性白血病薬の経済的負担は「重い」 医療費負担の軽減のため高額療養費制度の見直しを!|がんサポート

※高額療養費制度については以下の記事をご覧ください。
医療保険やがん保険の加入を検討する前に、必ず知っておくべき高額療養費制度について

がん保険の選び方

がん保険の選び方は、確率の低いがんを無視するか、それも合わせて備えるかで変わります。一時金で対応しづらいケースはいずれも確率が非常に低いので、無視するというのも1つの考え方です。

確率の低いがんを無視する場合

たとえば、FWD富士生命の「新がんベスト・ゴールドα」は診断一時金のみで加入できます。これに先進医療特約を付加しておけば、おおむねカバーできます。
新がんベスト・ゴールドα|FWD富士生命

再発にも対応しており、2回目以降も入院が条件になりません。30歳の男性が診断一時金200万円と先進医療特約のみの保障で加入する場合の保険料は、月額3098円です。

確率の低いがんにも備える場合

一例として、SBI損保のがん保険 自由診療タイプに加入すると治療費は実費で補償され、自由診療の費用もSBI損保が認めたものであれば負担してもらえます。

必要ならこれに診断一時金と先進医療特約を付加するというのが1つの方法です。SBI損保のがん保険は通算で1000万円まで補償されるので、慢性骨髄性白血病のときもかなりカバーできるはずです。
参考:SBI損保 がん保険

30歳の男性ががん診断保険金なしのプランに加入すると、保険料は月額550円です。診断保険金が100万円なら月額970円です。ただし、5年更新なので保険料が5年ごとに上がる点に注意してください。

おわりに

がんは医療保険で備えることが難しい(がん向けの特約を付加する場合を除きます)ので、貯蓄が十分にないのであれば、がん保険に加入するのがおすすめです。

がんの備えを考えるにあたっては、今、あなたががんの末期と診断されたらどうしたいか考えてみてください。

もし、何がなんでも生きていたい、治したいというなら自由診療を保障するタイプのがん保険が合っているかもしれません。

いずれにしても生涯で男性で約6割、女性で約4割の人ががんにかかります。がんは決して他人事ではないので、いざそのときにどうすべきか一度、考えてみてください。