自転車の賠償責任保険は、新たに加入する必要のない人が多い!

自転車保険の義務化が少しずつ進んでいますので、自転車保険に加入することを真剣に検討している人も多いのではないでしょうか。しかし、実際は新たに加入する必要のない人が多くいます。この記事ではその点について解説します。

FP横山

自転車向けの保険にあわてて加入するのはやめましょう

自転車保険の加入義務化は、少しずつ進んでいる

自転車保険の加入義務化は、少しずつ進んでいます。

ただすべての都道府県で自転車保険の加入義務化が進んでいるわけではありません。実際、義務化されている都道府県は平成30年3月1日時点で9都府県、一部都市で義務化されているのが4県のみとなっています。北海道は進行中で、あとは努力義務のところもあれば、全く動きのないところもあります。

おそらく自転車事故の少ない地域では、加入を義務化するほど必要性を感じていないということなのでしょう。義務化が進行しているところは、自転車事故が多い自治体ではないかと思います。

都道府県ごとの進行状況は以下の記事にまとめてありますので、ご自身の自治体ではどうなっているか確認したい方はご覧ください。
自転車保険の義務化の動向|都道府県・自治体別まとめ

義務化されているのは「賠償責任保険」だけ!

保険会社各社が販売している自転車向け保険の標準的な構成は、およそ次のような感じになっています。

  • 他人の身体や財産に損害を与えた時の賠償責任保険
  • 自身の備えである死亡保険や傷害保険
  • その他の補償(盗難補償など)
  • 付帯サービス(ロードサービス、法律相談など)

自転車を利用する人が加入しなければいけないのは、他人に与えた損害を賠償するための保険(賠償責任保険)であって、自分がケガをした時の備えではありません。つまり、列挙した補償の一番上のものだけということです。

つまり、一般的に自転車を利用する人向けの保険として販売されている商品は、賠償責任保険と死亡保険・傷害保険のパック商品にすぎないということです。

自治体のホームページではどう表示されている?

兵庫県では2015年4月より、自転車保険の加入が義務化されています。

これについて詳しく書いてある兵庫県交通安全協会のサイトですが、よく見れば「自転車保険」の加入義務化とは書いていません。「賠償責任保険への加入が義務となりました」と書かれています。つまり、自分のケガや死亡への備えを義務化しているわけではないのです。

ひょうごのけんみん自転車保険

また、大阪府でも2018年5月から自転車条例が施行されましたが、公式サイト内で自転車保険に加入しているかどうかの判断を「個人賠償責任保険に加入しているか」としています。義務化されているのはあくまで他人への賠償保険だけなのです。

大阪府公式サイトから引用)

なお、自転車保険には自動車のような強制保険としての「自賠責保険」はありません。そのため、何らかの形で他人への賠償義務が果たせればよいのです。

自転車向け保険は、他の保険と補償が重複することが多い

一般的な自転車保険の構成については先述したとおりですが、それらが他の保険とどのように補償が重複しているか解説します。

他人への賠償責任を果たす補償

自転車保険についている賠償責任補償ですが、これは「個人賠償責任保険」とよばれる保険です。単体で販売しても十分な儲けが出ないことから、他の保険の特約(オプション)としてしか販売されていません。

一般的な個人賠償責任保険は自転車事故の時だけでなく、日常生活において他人に損害を与えた時にも利用することができます。例えば買物をしている時に誤って商品を壊してしまったり、キャッチボールをしていて他人にぶつけてケガをさせてしまったようなケースです。ただし、保険商品によっては交通事故に限定していることもあるので注意してください。

個人賠償責任保険は次のような形で加入していることがあります。

  • 火災保険の特約としてついている
  • 火災保険には、個人賠償責任保険を特約(オプション)としてつけることができることが多いです。特に賃貸住宅に住んでいる人の場合、100%に近い確率で加入しています。

    なぜなら、賃貸住宅の場合は同じ建物に住んでいる他の住人に迷惑をかけた時のための保険として、半ば強制的に加入させられていることが多いからです。たとえば洗濯機の故障で水もれが起き、下の階の部屋を水浸しにしてしまったようなケースです。

  • 自動車保険の特約としてついている
  • 自動車保険にも、特約で自転車を利用している時の補償をつけることができる商品があります。

  • クレジットカードのサービスとしてついている
  • 例えばJCBカードでは「JCBトッピング保険」として、月額保険料120円で1億円の賠償責任保険をつけることができます。

個人賠償責任保険は目立たないので、これらの保険に加入したときに気付いていないことも多いです。保険証券を確認してみてください。

注意
自転車保険が義務化されている自治体で加入義務を果たすには、この個人賠償責任補償さえあれば問題ないということです。あわてて自転車向けの保険に加入しないようにしましょう。

自分の死亡やケガについての補償

また、自分のケガに対する保障は次のような形で得ていることがあります。

  • 傷害保険や死亡保険にすでに入っている
  • 自転車保険についている死亡やケガの補償は傷害保険です。そのため、死亡保険や他で傷害保険に加入していれば不要です。

  • 医療保険にすでに入っている
  • 自転車事故でケガをして入院や手術をした場合、医療保険からも入院給付金や手術給付金をもらうことができます。通院の保障はありませんが、一般論として、わざわざ通院補償をつける必要はないです。

  • 自動車保険の人身傷害補償保険でカバーされている
  • 自動車保険に加入する時は、自分の車に乗っている人を対象とした補償として「人身傷害補償」に加入するのが普通です。

    この補償は車を運転している時だけでなく、車に乗っていない時も補償の対象にしていることがあります。契約の内容にもよりますが、もし車に乗っていない時も補償されるのであれば、その自動車保険からも補償が受けられます。

盗難の補償

高価な自転車を利用している人は、盗難の不安を常に抱えているのではないでしょうか。

盗難の被害は自宅の駐輪場に止めているときと、外出先で止めているときがありますが、自宅の場合は一定の条件を満たしていると、火災保険についている盗難の補償でまかなえることがあります。

保険金がおりる条件は商品によって違いますし、盗難の補償はオプションで外せることが多いのでついていないということもあります。保険証券を見て確認し、それでもわからなければ保険会社か代理店に問い合わせてください。

広告

自転車保険の選び方・注意点

どんな補償が必要なのか考える

自転車の補償を得るうえで必要なのは他人への賠償責任補償です。その他の保険は人により異なります。

賠償責任補償だけで良いならすでに加入している保険に個人賠償責任保険がついていないか確認するのが先です。

補償される人(被保険者)の範囲

一般的な個人賠償責任保険は一世帯で1人が加入していれば、その世帯全員が補償の対象になります。別居している未婚の子も含めて補償されますので、お子さんが大学生で離れて生活しているようなケースでも一緒に補償してもらえます。

そのため、個人賠償責任補償だけで良いなら自転車保険の家族向けプランなどに加入する必要はありません。これは、あくまで傷害補償がほしい人向けの商品です。

補償の対象となる事故の範囲に注意

自転車保険で補償する事故の種類は、以下の3つに分類して把握しましょう。

  • 自転車を利用中の交通事故
  • 自転車を利用中でないときの交通事故
  • 上記2つ以外の、日常生活で起きた事故

賠償責任補償でも傷害補償でも、これらのどこまでを対象としているか注意してください。賠償責任補償については上記すべてを含んでいることがほとんどですが、違うものもありますので加入する前に確認することが大事です。傷害補償については補償範囲が広ければ保険料も高くなりますので気が付きやすいです。

自転車を利用しているとき以外の交通事故とは、たとえば駅のホームで転んだり、車と接触してケガをしたようなケースです。日常生活での事故とは、買い物をしていてうっかり陳列されていた商品を落として壊したケースや、子どもが公園で遊んでいて窓ガラスを割ってしまったような事故です。

保険料は年払いでしか支払えない商品もある

自転車保険の保険料は月払いができるものと年払いしかできないものがあります。

年払いの場合、年の途中で解約するときは未経過分の保険料が戻りますが、たとえば11ヶ月分が残っていても12分の11が戻ってくるのではなく「短期料率」が適用されますので注意してください。契約または更新からの期間が短いうちは、かなり不利な料率で計算されます。

示談交渉サービスはあったほうが良い

実際に事故が起きてあなたが加害者になってしまった時、相手方と交渉するのは大変です。権利意識が肥大した被害者の執拗な責めに耐えられなくて、必要以上にお金を払う約束をしてしまいかねません。

そこで、保険会社が代わりに示談交渉をしてくれるサービスが付いている方が心強いと言えます。

ただし、自転車事故で高額な賠償が必要な事故はそれほど多くないでしょうし、事故が起きる確率も低いです。

そのため、示談交渉サービスがついているかどうかという点についてはそれほど神経質にならなくても良いですが、今は自転車保険についている個人賠償責任保険であれば、ほとんど示談交渉サービスがついています。

なお、自転車保険の商品については以下の記事でまとめていますので、興味があればご覧ください。
おすすめの自転車保険・5選【2018年】

まとめ

自転車の事故で他人に損害を与えた場合の賠償をするため、保険に入るべきだという考えが広まるのはとても良いことです。

高額な賠償責任が生じても加害者に支払い能力がなく、被害者が泣き寝入りするしかないということも実際に多数、起きていると思われるからです。

自転車の賠償責任保険の加入義務化そのものには賛成ですが、保険会社の上手いセールスに釣られて余計な補償に加入しないように注意しましょう。