保険と家計を見直そう

自転車保険の義務化が少しずつ進んでいますので、自転車保険に加入することを真剣に検討している人も多いのではないかと思います。しかし、実際は新たに加入する必要のない人が多くいます。この記事ではその点について解説します。

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自転車保険の加入義務化は、少しずつ進んでいる

自転車保険の加入義務化は、少しずつ進んでいます。

都道府県ごとの進行状況は以下の記事にまとめてありますので、ご自身の自治体ではどうなっているか確認したい方はご覧ください。

参考 自転車保険の義務化の動向|都道府県・自治体別まとめ

調べて分かったのですが、すべての都道府県で自転車保険の加入義務化が進んでいるわけではありません。実際、義務化されている都道府県は平成30年3月1日時点で9都府県、一部都市で義務化されているのが4県のみとなっています。北海道は進行中で、あとは努力義務のところもあれば、全く動きのないところもあります。

おそらく自転車事故の少ない地域では、加入を義務化するほど必要性を感じていないということなのでしょう。義務化が進行しているところは、自転車事故が多い自治体ではないかと思います。

義務化されているのは「賠償責任保険」だけ!

ところで、保険会社各社が販売している自転車向け保険の標準的な構成は、およそ次のような感じになっています。

  1. 他人に損害を与えた時:最高で1億円の賠償責任保険
  2. (自分が)死亡した場合:300万円
  3. (自分が)後遺障害が残った場合:300万円
  4. (自分が)入院した時:1日4,000円
  5. (自分が)通院した時:1日4,000円
  6. (自分が)手術した時:1回につき40,000円(入院給付金の10倍)

この保険を検討する時にまず気付かないといけないのは、補償内容が次の2つに分類できるということです。

  1. 他人に与えた損害を賠償するための補償
  2. 自分のケガ・死亡の場合の備え

自転車を利用する人が加入しなければいけないのは、他人に与えた損害を賠償するための保険(賠償責任保険)であって、自分がケガをした時の備えではありません。つまり、最初に列挙した補償の一番上のものだけということです。2つ目と3つ目は「死亡保険」、4つ目~6つ目は「傷害保険」というものです。

つまり、自転車を利用する人向けの保険として販売されている商品は、賠償責任保険と死亡保険・傷害保険のパック商品にすぎないということです。

「ひょうごのけんみん自転車保険」サイトですが、よく見れば「自転車保険」の加入義務化とは書いていません。「賠償責任保険への加入が義務となりました」と書かれています。自分のケガや死亡への備えを義務化しているわけではないのです。

ひょうごのけんみん自転車保険

また、大阪府でも公式サイト内で、自転車保険に加入しているかどうかの判断を「個人賠償責任保険に加入しているか」としています。義務化されているのはあくまで他人への賠償保険だけなのです。

大阪府公式サイトから引用)

なお、自転車保険には自動車のような「自賠責保険」はありませんので、必要な補償は自分で商品を探して確保する必要があるということです。

自転車向け保険は、新たに加入する必要がない人も多い

賠償責任保険

自転車保険として売られている商品に含まれている補償内容ですが、実はみなさんも知らないうちに同等の補償に加入していることが多いです。

まず、賠償責任補償のついた保険は一般的に「個人賠償責任保険」と言いまして、単体で販売しても十分な儲けが出ないことから、他の保険の特約(オプション)としてしか販売されていません。

個人賠償責任保険は自転車事故の時だけでなく、日常生活において他人に損害を与えた時に利用することができます。例えば買物をしている時に誤って商品を壊してしまったり、キャッチボールをしていて他人にぶつけてケガをさせてしまったようなケースです。

個人賠償責任保険は次のような形で加入していることがあります。

  1. 火災保険の特約としてついている
  2. 火災保険には、個人賠償責任保険を特約(=オプション)としてつけることができることが多いです。特に賃貸住宅に住んでいる人の場合、100%に近い確率で加入しています。

    なぜかと言いますと、賃貸住宅の場合、同じ建物に住んでいる他の住人に迷惑をかけた時のための保険として、半ば強制的に加入させられていることが多いからです。よく説明されるのが、洗濯機の故障で水もれが起き、下の階の部屋を水浸しにしてしまった例です。

  3. 自動車保険の特約としてついている
  4. 自動車保険にも、特約で自転車を利用している時の補償をつけることができる商品があります。

  5. クレジットカードのサービスとしてついている
  6. 例えばJCBカードでは「JCBトッピング保険」として、月額保険料120円で1億円の賠償責任保険をつけることができます。

    加入する時に深く考えず申し込んでしまったということもあるでしょうから、確認してみる価値はあります。

自分のケガについての補償

また、自分のケガに対する保障は次のような形で得ていることがあります。

  1. 傷害保険や死亡保険にすでに入っている
  2. 先に説明したとおり、自転車保険は賠償責任保険と傷害保険・死亡保険のパック商品です。そのため、他でこれらに入っていれば必要ないです。

  3. 医療保険にすでに入っている
  4. 自転車事故でケガをして入院や手術をした場合、医療保険からも入院給付金や手術給付金をもらうことができます。通院の保障はありませんが、一般論として、わざわざ通院補償をつける必要はないです。

  5. 自動車保険の人身傷害補償保険でカバーされている
  6. 自動車保険に加入する時は、自分の車に乗っている人を対象とした補償として「人身傷害補償」に加入するのが普通です。

    この補償は車を運転している時だけでなく、車に乗っていない時も補償の対象にしていることがあります。契約の内容にもよりますが、もし車に乗っていない時も補償されるのであれば、その自動車保険からも補償が受けられます。

自転車保険を選ぶ上で注意すべき点

「示談交渉サービス」にはこだわらなくて良い

実際に事故が起きた時、相手方と交渉するのは大変です。

自分が加害者になってしまった時、権利意識が肥大した被害者の執拗な責めに耐えられなくて、必要以上にお金を払う約束(示談)をしてしまいかねません。

そこで、保険会社が代わりに示談交渉をしてくれるサービスが付いている方が心強いと言えます。

ただし、自転車事故で高額な賠償が必要な事故はそれほど多くないでしょうし、事故そのものの発生確率も低いです。

そのため、示談交渉サービスがついているかどうかという点についてはそれほど神経質にならなくても良いのではないかと考えます。

実際にそのようになった時は、保険会社のアドバイスを受けながら交渉を進めることになりますし、それで足りなければ弁護士さんを雇えば良いので、必ずしも示談交渉サービスがついていないといけないということではありません。

補償される人(被保険者)の範囲

個人賠償責任保険は通常、一世帯で1人が加入していれば、その世帯全員が補償の対象になります。

別居している未婚の子も含めて補償されますので、お子さんが大学生で離れて生活しているようなケースでも一緒に補償してもらえます。

一般的な個人賠償責任保険では、補償の対象を次のようにしていることが多いです。

  1. 本人
  2. 配偶者
  3. 本人またはその配偶者と同居の、本人またはその配偶者の親族
  4. 本人またはその配偶者と別居の、本人またはその配偶者の未婚の子

「親族」は6親等以内の血族と3親等以内の姻族が含まれていることが多いです。血族は本人の家系、姻族は配偶者の家系であることは分かりますよね。

そして、おじいさん・おばあさんは2親等、甥や姪ですら3親等ですから、親族として頭に浮かぶたいていの人は同居していれば、補償の対象に入ることになります。

ただし! 商品によっては補償の対象を絞っているので確認が必要です。特に、自転車向け保険の補償として組み込まれている個人賠償責任保険は要注意です。

今加入している保険の補償対象が、保険証券を見てもよく分からないのであれば、遠慮なく保険会社に問い合わせて確認しましょう。

加入を検討しても良いと思う自転車保険

ロードサービス付きのau自転車保険「Bycle」

au損保の自転車向け保険「Bycle」には、一般的な補償の他、自動車保険のようなロードサービスがついています。

仮にパンクなどの原因で自走不能になった時でも、最大で50キロまでなら搬送してもらえます。全国700箇所以上の拠点から24時間365日対応してもらえます。このサービスが年に4回まで利用できます。

保険料は本人のみ補償タイプで、月間370円(ブロンズコース/月払い)。しかも、個人賠償責任保険を外して申し込むこともできます。この場合だと月間280円になります。2年分まとめて払えば約235円となります(申し込みページまで行かないと金額は分かりません)。

自転車で通勤していたり、サイクリングが趣味で遠出することが多い人にとっては、このサービスは検討に値するものではないかと感じました。

ひょうごのけんみん自転車保険

「ひょうごのけんみん自転車保険」はプランA~Cまであり、賠償責任保険のみ加入するプランAなら年間保険料は1,000円。これで示談交渉がついて家族全員が補償されるということですので、まあまあ良心的な感じがします。他で加入していないのであれば、これがオススメと言えるでしょう。

なお、保険料のところに小さい字で「損害保険料600円、自転車年会費・制度運営費を含む」と書かれています。

どうやら自動車免許を更新する時に求められる、悪名高い「交通安全協会」の自転車会員という扱いになるようで、その会費が年間400円のようです。

車のドライバーでも、交通安全協会の会費は年間で300円~700円というのが相場なので、ちょっと高いような気もしますが・・・最も大事な補償のところが傷害保険と切り離されて単体で売られているので、まあヨシとしましょう。

まとめ

自転車の事故で他人に損害を与えた場合の賠償をするため、保険に入るべきだという考えが広まるのはとても良いことです。

高額な賠償責任が生じても加害者に支払い能力がなく、被害者が泣き寝入りするしかないということも実際に多数、起きていると思われるからです。

自転車の賠償責任保険の加入義務化そのものには賛成ですが、保険会社の上手いセールスに釣られて余計な補償に加入しないように注意してください!

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