団信に七大疾病、八大疾病保障は必要か。商品によっては検討の価値あり

住宅ローンを組むときに加入する団信は、契約者が死亡または高度障害状態になったときの保障をするものですが、最近は特定の病気も保障するタイプが多くなりました。この記事では、そのうち七大疾病保障、八大疾病保障つきの団信を中心に解説します。

FP横山

がん団信や三大疾病団信と違い、商品ごとの違いが大きいですね。

七疾病、八疾病保障つき団信とは

団信(団体信用生命保険)とは、住宅ローンの契約者が死亡したときまたは高度障害状態になったときに、その返済義務を免除するものです。

七疾病(八疾病)保障付き団信とはこれに加え、七疾病または八疾病を原因として所定の状態になると住宅ローンの返済義務が免除されるものです。

MEMO
免除されるパターンは、所定の条件に該当した時点で全額免除になるタイプと、最初の1年間は毎月の返済額だけ保障し、1年を超えると全額免除になるタイプの2つがあります。

タイトルには七大疾病と八大疾病しか入れていませんが、このほか九疾病、11疾病、全疾病などより保障範囲が広いものがあります。

これらはがん団信や三大疾病団信に比べて商品の違いが大きく、よく比較して検討する必要があります。

がん団信や三大疾病団信については以下の記事を参考にしてください。

住宅ローンにがん保険(がん団信)は必要か 団信の三大疾病保障は、必要とは言えない。でも悪くない。
注意
こうした商品の本質は、病気やケガが原因で働く能力を失い、住宅ローンの返済が困難になったときの備えとすることです。商品を検討しているうちに、この目的を見失う可能性が高いので注意してください。

保障の対象となる七大疾病、八大疾病とは何か

七大疾病や八大疾病とは、おおよそ以下の病気が対象になります。おおむね七大疾病まではどの商品も同じで、それ以上が対象になると少し違いがあります。

(三大疾病)
がん(悪性新生物)、急性心筋梗塞、脳卒中

(七大疾病)
がん(悪性新生物)、急性心筋梗塞、脳卒中、高血圧性疾患、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変

(八大疾病以上)
がん(悪性新生物)、急性心筋梗塞、脳卒中、高血圧性疾患、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎、ウィルス性肝炎、大動脈瘤および解離、上皮内新生物、悪性黒色腫以外の皮膚がん

商品の選び方・比較のポイント

団信の商品を比較するときは、以下の点を比較しましょう。

  • 独立した保障か、死亡を保障する団信と一体か
  • 七大疾病保障や八大疾病保障の商品は、一般的な死亡と高度障害を保障する団信と一体になっているものと別になっているものがあります。

    別になっているタイプの場合は保障が不要になったら解約することができますし、年齢によって保険料が変わるので不公平さがありません。

  • 対象となる疾病の種類
  • 前項で解説したとおり、商品によって保障する疾病の数が違います。まずは、どこまで保障してもらいたいか考えましょう。

  • ケガによる就業不能状態が対象になるか
  • ケガによる就業不能を対象にしている商品がいくつかあります。病気に目が行きがちですが、ケガで就業不能になる可能性も十分にあるので、できればケガも含まれているほうが良いです。

  • 疾病ごとの条件
  • この点が最も大事です。なぜなら商品ごとに大きく条件が違い、中には保険金を支払う意思を感じない商品があるからです。後述するレビューを参考にしてください。

    条件としてよく出てくるのは「就業障害(就業不能状態)」と「○日以上の継続入院」です。就業障害とは、いかなる業務にもまったく従事できない状態」です。

  • 保険料
  • 以上を考慮したら、最後は保険料を比較しましょう。金利に0.3%の上乗せとなる商品が多いですが、保険料を別途支払うタイプの場合は契約者の年齢も考慮されるので、大きく金額が違う可能性があります。

    ただし、住宅ローン選びは金利だけでは決められませんので、他の要素もチェックしたうえで契約するかどうかを決めましょう。

商品のレビュー

三井住友銀行 「8大疾病保障付住宅ローン」

8大疾病保障付住宅ローン|三井住友銀行

三井住友銀行の団信の保証範囲は以下のとおりです。

  • ガン
  • 生まれて初めてガンと診断確定されたとき。上皮内ガンや非浸潤ガンは対象外

  • 急性心筋梗塞
  • 保障開始日以降に急性心筋梗塞にかかり、医師の診療を受けた日から60日以上、労働の制限を必要とする状態が継続したとき

  • 脳卒中
  • 保障開始日以降に脳卒中にかかり、医師の診療を受けた日から60日以上、言語障害などの他覚的な神経学的後遺症があるとき

  • 重度慢性疾患
  • 高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎で所定の就業不能状態

3大疾病で上記の条件に該当すると、以降の住宅ローンは全額免除となります。

重度慢性疾患にいては、所定の就業不能状態が1カ月を超えて継続すると、毎月の住宅ローン返済額が免除になります。そして13カ月を超えて継続すると以降の住宅ローンが全額免除となります(借入時の年齢が20歳以上46歳未満の場合)。

なお、「日常のケガ・病気保障特約」を付加することができます。この特約を付加するとかなり幅広い保障が得られます。8大疾病保障付住宅ローンのみなら0.3%、日常のケガ・病気保障特約を付加するとさらに0.1%、金利が上乗せされます。

商品としてはごく一般的な内容です。加入するなら日常のケガ・病気保障も付加したいところですが、合わせて0.4%となるのがネックです。

たとえば3000万円を30年間借りた場合、保険料相当額は3000万円÷2(平均残高)×0.4%×30年=180万円です。保険料に見合った保障かどうかは微妙なところでしょう。

イオン銀行 「8疾病保障付住宅ローン」

8疾病保障付住宅ローン|イオン銀行

イオン銀行の8疾病保障付住宅ローンは、以下のような保障となっています。

  • ガン
  • 保障開始日以降、生まれて初めてガン(悪性新生物)と診断された場合

  • 急性心筋梗塞
  • 保障開始日以降にこれらの病気にかかり、初めて医師の診療を受けた日からその日を含めて60日以上、労働の制限を必要とする状態が継続

  • 脳卒中
  • 保障開始日以降にこれらの病気にかかり、初めて医師の診療を受けた日からその日を含めて60日以上、言語障害・運動失調・麻痺等の他覚的な神経学的後遺症が継続

  • 高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎(重度5疾病)
  • これらの病気を原因として就業不能状態になった場合(就業不能状態は、入院または医師の指示により在宅療養をしており、いかなる業務にもまったく従事できない状態)、

イオン銀行の8疾病保障付住宅ローンは、ガン、急性心筋梗塞、脳卒中で所定の状態になると、以降の住宅ローンが全額免除になります。

重度5疾病については、最初の12カ月間は毎月の返済額が免除されます(通算36カ月)。そして、12カ月を超えて続くと以降の住宅ローンが全額免除となります。

保障内容としてはごく一般的なものといえます。

三菱UFJ銀行 「7大疾病保障付住宅ローン ビッグ&セブン〈Plus〉 安心の保険料タイプ」

7大疾病保障付住宅ローン ビッグ&セブン〈Plus〉安心の保険料タイプ|三菱UFJ銀行

「ビッグ&セブン〈Plus〉安心の保険料タイプ」は、以下の七大疾病について保障するものです。単体で契約できるので、不要になったら解約できます。

悪性新生物、急性心筋梗塞、脳卒中、高血圧性疾患、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変

いずれの疾病を原因とする場合も所定の就業障害になり、それが30日を超えて継続すると毎月の住宅ローン返済額が免除されます。そして、その状態が1年と30日を超えて継続した場合は以降の住宅ローン残高が全額免除となります。

この商品が特徴的なのは、悪性新生物についても診断確定しただけでなく、他の疾病と同じように就業障害と認定されないと住宅ローンが免除されないという点です。

そのため、この条件は他の商品と比べて不利な印象を受けるかもしれませんが、そもそもこうした商品は住宅ローンの返済ができない状態を保障するものなので、合理的といえます。保険料が妥当なら特に問題はありません。

楽天銀行 「全疾病特約付団体信用生命保険」

全疾病特約付団体信用生命保険|楽天銀行

楽天銀行の全疾病特約付団体信用生命保険は、一部を除くすべての疾病で所定の就業不能状態が15日以上継続していると、毎月の住宅ローン返済額が免除されます(通算で36カ月分まで保障)。そして、1年を超えて継続すると以降の住宅ローンが免除になります。

対象外となるのは精神障害、妊娠・分娩・産じょく等です。ケガも対象外である点に注意してください。

就業不能状態の定義は以下の2つです。

  • 入院
  • 治療を目的とした入院

  • 「身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの」または「身の回りのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの」

入院以外については、公的介護保険制度の要介護2くらいに相当するのではないかと考えられます。

参考値を挙げると、介護保険の第2号被保険者(40歳~65歳)で、要介護2以上に認定された人の数は約7万8000人です(平成28年度 介護保険事業状況報告より)。第2号被保険者の場合、「特定疾病」に該当したとき以外は使えないので、この数値はケガが原因の人は含まれていない点に注意してください。

15日を超える継続入院は可能性として考えられますが、精神障害が対象外なので、1年を超えるケースはきわめて稀でしょう。

そのため、少し長めの入院をしたときは住宅ローンの毎月返済額が免除されるかもしれない、という程度の商品と考えたほうが良いです。

みずほ銀行 「8大疾病補償プラス・8大疾病補償」

8大疾病補償プラス・8大疾病補償|みずほ銀行

みずほ銀行の商品は、八大疾病タイプと八大疾病プラスタイプの2種類があります。プラスタイプは八大疾病以外の病気やケガ全般が対象です。保障対象となる疾病は以下のとおりです。がんは上皮内新生物も対象となっている点が特徴です。

  • がん
  • 悪性新生物だけでなく、上皮内新生物も含む

  • 急性心筋梗塞、脳卒中高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎
  • 条件の詳細は不明

八大疾病で「就業障害」状態になると最初の30日間(支払対象外期間)を経過してから毎月の返済額が補償され、就業障害状態が1年続くと以降の住宅ローンが全額免除となります。

就業障害状態についてはホームページで詳細が明らかにされていませんが、おそらく一般的な就業不能保険の定義にある「いかなる業務にも従事できない状態」ではないかと考えられます。

保険料については金利上乗せタイプではなく、保険料を別途支払うタイプです。そのため、不要になればいつでも解約ができます。また、保険料の金額は借入残高と年齢によって変わります。金利に一律で○%上乗せという形ではないので不公平感がありません。

八大疾病タイプと八大疾病プラスタイプのどちらを選ぶかという点ですが、プラスタイプで広くカバーしてもらうほうが良いでしょう。保険料も大きく変わりません(ホームページに例が掲載されています)。プラスタイプはケガも対象となるのが評価できます。

JAバンク 「9大疾病補償付住宅ローン」

9大疾病補償付住宅ローン|JAバンク

JAバンクの9大疾病補償付住宅ローンの団信は、対象となる9疾病で所定の状態になると、以降の住宅ローンが全額免除になります。保証対象は以下のとおりです。

  • がん(悪性新生物)
  • 診断確定

  • 急性心筋梗塞
  • 保険期間中に急性心筋梗塞を発病し、初診日から60日以上、労働の制限を必要とする状態が継続したと医師によって診断されたとき

  • 脳卒中
  • 保険期間中に脳卒中を発病し、初診日から60日以上、言語障害等の多角的な神経学的後遺症が継続したと医師によって診断されたとき

  • 高血圧症・糖尿病・慢性膵炎・肝硬変・慢性腎不全・ウィルス肝炎
  • 保険期間中に高血圧症・糖尿病・慢性膵炎・肝硬変・慢性腎不全・ウィルス肝炎を発病し、これによりいかなる業務にも従事できない状態が365日以上、継続したとき

三大疾病以外の病気について、入院が365日以上継続という条件は長すぎます。これではほぼ、該当することはありません。これなら三大疾病保障付き団信という名前にしたほうが良いです。

栃木銀行 「とちぎん11疾病団信(生活習慣病団信)」

とちぎん11疾病団信(生活習慣病団信)|栃木銀行

とちぎん11疾病団信は、対象となる11疾病で所定の状態になると、以降の住宅ローンが全額免除になります。保証対象は以下のとおりです。

  • がん(悪性新生物)
  • 診断確定

  • 心疾患、脳血管疾患、糖尿病 高血圧性疾患、慢性膵炎、腎疾患、肝疾患、大動脈瘤および解離、上皮内新生物、悪性黒色腫以外の皮膚がん
  • 融資日以降に発病した心疾患、脳血管疾患、糖尿病 高血圧性疾患、慢性膵炎、腎疾患、肝疾患、大動脈瘤および解離、上皮内新生物、悪性黒色腫以外の皮膚がんを原因として、180日以上の継続入院

急性心筋梗塞や脳卒中でも単に180日以上入院すれば該当しますが、入院は「継続」が条件なので、脳卒中であってもほぼあり得ないと言って良いでしょう。

他の病気でもほぼ該当しないのではないかと考えられ、がん以外で適用されることは想定しにくいです。

おわりに

七大疾病保障付き団信や八大疾病保障付き団信は、がん団信や三大疾病保障付き団信と比べて比較しづらいです。また、実質的にほぼ使うことはありえないのではないかというものも含まれていて、やや商品性に疑問を感じるものが多くあります。

注目に値すると感じたのは三菱UFJ銀行とみずほ銀行の商品です。これらは一般的な団信と切り離されており、不要になれば解約できるだけでなく、商品としても決して悪くないと言えるでしょう。