「保険に無料で加入できます」「500円で追加の補償が得られます」というフリーケアプログラムの案内が自宅に届いたことはないでしょうか。
これは、チューリッヒ保険会社が提供している保険なのですが、ダイレクトメールで送られてくることから怪しいと思っている人が多いようです。
そこで、この記事ではフリーケアプログラムの補償内容や、加入する場合の注意点について解説します。
FP横山
- もくじ
フリーケアプログラムに過剰な警戒は無用
フリーケアプログラムとは、チューリッヒ保険会社が提供する保険です。
フリーケアプログラムの案内が送られてくるのは主にクレジットカードの会員です。クレジットカード会社が団体保険として契約し、その会員に対して提供しているのです。
団体保険なので、補償内容がまったく同じ保険に加入するのと比べれば、保険料が少し安くなっているはずです。
チューリッヒ保険会社はホームページで提携先の企業をすべて掲載しています。
案内には「入院補償 無料進呈」という文字がありますが、一般の人ならこれを見て「タダで保険に入れるなんて怪しくない?」と疑うのも無理はありません。
しかし、保険そのものはカード会社が運営しているわけではなく正規の保険会社が運営しているものです。そのため、商品自体には何も問題はありません。
無料で加入できる保険の案内が送られてくる理由は、「無料」という言葉で関心をもたせて追加補償プランに加入してもらうことを狙っているからでしょう。
フリーケアプログラムの補償内容
次に、フリーケアプログラムの補償内容を整理して解説します。
加入の仕方は2種類
フリーケアプログラムは、オプションをつけるかどうかで以下の2つの入り方があります。
- 無料プランのみで加入する
- 追加補償プランにも加入する
無料プランの正式な保険の種類は「交通事故傷害保険」です。無料プランでは交通事故が原因で5日以上の入院をしたとき、3万円(定額)を受け取ることができます。ただし、この補償しかありません。
なお、ここでいう交通事故には駅の構内など改札口の内側でこうむった事故や、乗り物の火災による事故も含まれます。
保険料月500円・追加補償プランの補償内容
追加補償プランは「普通傷害保険」と「個人賠償責任保険」のセットです。補償内容は以下のとおりです。
- 賠償責任保険 1億円
- 入院保険金 1日につき5,500円
- 手術保険金 55,000円(最高額。基本は入院保険金日額の5倍又は10倍)
賠償責任保険は他人の物を壊したり、他人にケガをさせてしまった場合の賠償責任をカバーしてくれる保険です。一家に一契約はほしい補償です。
また、ケガで入院したり手術をしたりした場合はそれぞれ所定の保険金を受け取ることができます。無料プランでは交通事故を原因とするもののみが対象でしたが、追加補償プランでは偶然の事故はすべて補償の対象になります。
フリーケアプログラムに加入するうえで注意してほしい2つのこと
フリーケアプログラムに加入するなら、次の2点に注意してください。
傷害保険はあくまでケガのみが対象
追加補償プランに加入するうえで一番注意してほしいのは、あくまでもケガが原因のときだけということです。
わずか500円の保険料で、病気でもケガでも入院したら1日5500円もらえるのならものすごく安い保険料です。そのため、保険に詳しい人ならすぐ気付くのですが、一般の人は勘違いしてしまう可能性があります。
他の保険と補償が重複しやすい
追加補償プランについている賠償責任保険は火災保険や自動車保険の特約として付加されていることが多いです。クレジットカードの付帯保険として加入していることもあります。
そのため、保険証券を探してそのどこかに「個人賠償責任保険」「日常生活賠償責任保険」などの文字が入っていないかどうか確認してみてください。
また、医療保険は病気だけでなくケガも保障の対象となりますので、すでに医療保険に入っているなら追加補償プランに入ると補償が重複することになります。
強いてメリットをあげるとすれば、医療保険の場合は1回の入院で保障される期間は60日や120日が上限になっている人が多いでしょう。しかし、追加補償プランの場合は180日まで補償される点が違います。
ジャックス・フリーケアプログラムに加入してみました
補償を必要としていたわけではありませんが、実際に入ってみました。申し込んだのは無料プランのみです。
申込みをしてから保険証券(加入者証)が届くまで、2週間くらいかかりました。
届いた封筒の中には次のような書類が入っていました。
これが保険証券(加入者証)です。
なお、フリーケアプログラムと同様に無料で加入できる「楽天ミニ保険 ガンプラン」の時と比べると必要最小限の書類だけが送られてきたという印象です。
「楽天ミニ保険 ガンプラン」については以下の記事を参考にしてください。

おわりに
冷静に検討すると、追加補償プランに加入する必要がある人はそれほど多くないでしょう。
フリーケアプログラムに限らず、クレジットカードの会員に保険の案内を送るという手法はうまくいっているらしく、他にもいろいろな案内が届きます。
こうした保険は一般の人が自己判断で加入するので、不要な補償や補償が不十分なものに加入してしまう危険性があります。
そのため、保険に加入するならなるべく代理店でプロに相談しながら加入してください。