終身保険で葬式代を準備する前に、葬式代を安くすることを考えるのが先

「葬式代は200万円くらいかかるので生命保険で準備しましょう」というのは昔からある保険のセールストークです。しかし、すべての人が葬式代に200万円もかかるわけではありませんし、終身保険でなければ準備できないわけではありません。この記事では葬式代の準備を目的として終身保険に入る前に考えてほしいことを解説します。

FP横山

特に若い人が安易に終身保険を契約するのはおすすめしません。

「葬式代は200万円」と言われる根拠

お葬式は一般的に200万円くらいの費用がかかると言われています。

生命保険文化センターのサイトに、日本消費者協会が2017年に実施したアンケートの結果が掲載されていますが、ここでは195.7万円となっています。
参考:生命保険文化センター「葬儀にかかる費用はどれくらい?」

葬式代を生命保険で準備するという時に使われるのは「終身保険」という貯蓄型の保険です。

終身保険は保険の対象となっている人が死亡した時に保険金がおりる保険ですが、この保障が生涯続きます。「死ぬまでの間、死亡したら保険金を払いますよ」という言葉遊びみたいな保障が続くので、解約しない限りは必ず保険金がもらえます。

終身保険に加入していれば毎月お金を貯めることになりますし、生命保険料控除という税法上の特典が使えますので、実質の利回りは銀行に預けておくだけよりも良くなることは多いです。

例えばアクサダイレクト生命で25歳の男性が200万円の終身保険に加入した場合の保険料は、月々2,620円です。

これくらいなら安いと感じるかもしれません。そのため、普段からお葬式や保険のことを考えていない人は簡単に納得して、加入してしまうんですね。

お葬式も価格破壊がすすんでいる

先に引用した日本消費者協会のアンケート結果ですが、実は、このアンケートはあまりあてになりません。この点については現役の葬儀屋さんが詳しく解説しています。詳しくはこちらをどうぞ。
参考:マスコミが報道する葬儀費用のウソ(日本消費者協会編)「考える葬儀屋さんのブログ」

そもそも、あなたはお葬式にどんなイメージをお持ちですか?

こんな感じではありませんか?

最近はこういう参列者の多いお葬式ではなく、規模の小さなお葬式で済ませたいというニーズが増えており、葬儀社もこれに対応した葬儀を用意する傾向にあります。

規模の小さいお葬式は火葬式や家族葬がありますが、火葬式なら20~30万円程度、家族葬でも40~50万円くらいが相場ではないかと思います(火葬式は、厳密に言えばお葬式ではありません)。
参考:全国対応、低価格のシンプルな葬儀【小さなお葬式】

ただし葬儀社がホームページに記載している金額は最低限の金額で、後からオプション料みたいなものを請求してくることもありますので業者の選定には気をつけてください。

また、200万円もの費用がかかる葬儀なら参列者もいますので香典収入が得られます。そのため最終的な負担は200万円もかかりません。

健康保険からは「葬祭費」または「埋葬料」というお金ももらえますし(5万円程度)、豪華なお葬式をしようと思わなければ、若いうちから備えなければいけないほどのお金なんてかからないのです。
参考:葬祭費について|さいたま市公式サイト

死亡した人の預金口座は自動的に凍結されるわけではない

故人が死亡したら自動的に金融機関へ情報が行き、口座が凍結されるという話を信じている人がいるようですが、これは都市伝説です。

預金者が死亡したという情報は通常、遺族が連絡しない限りは金融機関には知られません。教えたとしても、葬儀に必要な最低限のお金は引き出すことができるようになっています。ですから、保険に入っておかないと葬儀社への支払いができないなんていうこともありません。
参考:葬儀費用は、凍結された口座から引き出せるの?|相続ハウス

葬儀費用を故人の口座から支払いたいなら金融機関に知らせる前に下ろしてしまうこともできます。この場合は相続人の間でトラブルにならないように注意する必要があります。

また、葬儀費用は後払いが基本ですし、クレジットカードの支払いに対応しているところもあります。クレジットカードの限度額が足りないなら一時的に引き上げてもらうこともできます。
参考:ご葬儀料金もカードでお支払い|三井住友カード

仮に200万円かかる葬儀をしたい場合でも葬儀社へ支払う資金を準備する方法は色々あるので、保険で準備することのメリットはそれほど多くありません。中途解約すると、解約返戻金の金額がそれまで払ってきた保険料の総額を下回るリスクがありますので、契約は慎重にするべきです。

葬式代を安くしたいなら

ムダな葬儀費用をかけたくないなら普段からお葬式の話をタブー視せず、家族で話し合っておくことが大事です。

そもそも人が亡くなって急いで葬儀の準備をしなければならないときに、葬儀社を探して依頼するなんてしていたら、足元を見られて過大な請求をされるのなんて当たり前だと思いませんか?

今は本人が生前予約をすることもできますので事前に準備をすることができます。

葬式代の準備をするなら保険に入る前に、葬儀について勉強するのが先です。

おわりに

終身保険の特徴を良く理解したうえで葬式代についても納得して加入するなら何も問題はありません。しかし実際はそうではなく、何となく加入していることが多いのではないでしょうか。

葬式代を生命保険で準備することを考えているなら、まずは葬儀にかかるお金がどのくらいなのかを知ってから決めるべきでしょう。「葬式代は200万円かかります。だから保険に入りましょう」なんていう勧誘は論理が飛躍しています。

なお、私の知っている保険屋さんで「葬式代は500万円かかる」とセミナー言っていた人がいましたが、内訳を聞いてみたいものですね!