医療保険の1入院あたりの支払限度日数は60日がいい?それとも120日?

医療保険に加入するときは、1入院あたりの支払限度日数を決める必要があります。

この支払限度日数は、医療保険の価値を決めるうえでとても大事なので、何となく決めてはいけません。

そこで、この記事では医療保険の1入院あたりの支払限度日数をどうやって決めるべきか解説します。

FP横山

1入院あたりの入院限度日数は、意外と決めるのが難しいです。

1入院あたりの支払限度日数の型とは

医療保険に加入するときは、1入院で保障される日数の上限を決める必要があります。

つまり、1回の入院では60日まで保障しますとか120日まで保障しますということで、これを超える日数については給付金は支払われません。

日数の型には以下のような種類があり、商品によって選べる型が決まっています。すべて選べる商品はほぼないでしょう。

  • 30日型
  • 60日型
  • 120日型
  • 180日型
  • 360日型
  • 730日型

一般的なのは60日型または120日型で、いずれかで加入している人が大半と考えられます。

また、3大疾病や7大疾病での限度日数を延長したり、無制限にしたりする商品もあります。

このほか、保険期間を通算した保障日数もあります。おおむね730日か1095日であり、こちらが問題になることはあまりありません。

60日型や120日型で十分なのか、次に見ていきましょう。

医療保険における「1入院」とは?

医療保険の1入院あたりの支払限度日数を決めるときは「1入院」という言葉の正確な意味を理解する必要があります。

何も知らなければ、単に入院してから退院するまでの間のことを指していると考えるでしょう。しかし、医療保険の場合はそうではありません。

医療保険では、退院の翌日から起算して180日以内に再入院した場合、両者の病名が同じ場合や、両者の間に「医学上重要な関係」がある場合は同一の入院として扱われるので、入院日数は前回の入院の続きとしてカウントされます。

医学上重要な(密接な)関係とは、具体的には以下のようなものを指します。

・糖尿病と糖尿病性網膜症
・肝硬変と食道静脈瘤
・狭心症と心筋梗塞

たとえば60日型の医療保険に入っていて40日間入院し、2カ月後に同じ病気で再入院となって50日入院した場合、受け取れる給付金は90日分ではなく60日分だということです。

1入院あたりの支払限度日数を決めるときは、この点も考慮する必要があります。

ここは大事な注意点です!

入院日数の平均はどのくらい?厚生労働省のデータをもとに解説

厚生労働省は「患者調査」にて、以下のようなデータを公表しています。

まず、全体の平均在院日数が32.8日であることがわかります。

この数値をもって60日型で問題ない、むしろ入院日数は短期化しているから30日型でも大丈夫だという人がいますが、そうではありません。

保険に加入する以上、入院期間が長くなったとき(または入院回数が多くなったとき)に機能を発揮してもらえないのであれば、あまり意味がないからです。

平均在院日数が長いものに着目すると、認知症、統合失調症、アルツハイマー病、脳血管疾患などがあります。こうしたものを次項にて見ていきましょう。

保険で備えるべきなのは、平均ではなく長い入院です。

入院日数が長い病気に対する備え方

次に、前項の表にある平均在院日数が長いもののデータを見ていきましょう。

認知症・アルツハイマー病

厚生労働省のデータによると、認知症の平均在院日数は359.2日、アルツハイマー病の平均在院日数は236.3日となっています。

平均がこれだけ長いのだから、とても60日型や120日型では足りないのではないかと考えるのではないでしょうか。

ところで、医療保険における入院とは、以下のものを言います。

入院とは、医師による治療が必要であり、疾病やケガの治療を目的として、所定の病院または診療所において、常に医師の管理下において治療に専念できること

ポイントは以下の3点です。これらを満たさないものは医療保険において「入院」とは認められません。

  • 疾病やケガの治療を目的としている
  • 病院または診療所での入院
  • 常に医師の管理下において治療に専念している

認知症やアルツハイマー病は現代医学において不治の病であり、治療しても効果が期待できません。そのため、入院していても治療が行われず、入院給付金が支払われないことがあるのではないかと考えています。

そのため、こうした病気に対しては医療保険にあまり期待せず、貯蓄で備えるのが良いかもしれません。

統合失調症や気分障害などの精神障害

統合失調症の平均在院日数は561.1日となっています。

しかし、このデータは鵜呑みにはできないと私は考えています。なぜなら、精神病床には年単位で長期入院をしている人がいて、それが平均在院日数を押し上げているのではないかと考えているからです。

厚生労働省が公表しているデータによると、以下のように長期入院をしている人がたくさんいることがわかります。

実際のところははっきりしませんが、精神病床の平均在院日数はおそらくこうした人たちの値が含まれているのではないかと私は考えています。

こうした長期入院はもはや保険で備えるものではなく、万が一そうなってしまったときは行政の支援を頼るしかないでしょう。

民間の保険で備えられるレベルの精神疾患は、統合失調症や気分障害(うつ病等)などで、長くて3カ月程度の入院です。

統合失調症や気分障害で常に入院するわけではありませんが、3カ月程度の入院は想定される範囲の期間であり、貯蓄または保険での備えを検討すべきではないかと考えます。

統合失調症やうつ病は、誰がかかってもおかしくない病気です。

脳血管疾患(脳卒中)

脳血管疾患の平均在院日数は93.0日です。

脳血管疾患は3大死因の1つであり、誰でもかかる可能性があります。そのため、備えを考えておくことは必要です。

脳血管疾患の治療は急性期の治療が2週間~1カ月程度あり、その後はリハビリ病院かリハビリ施設に移ってリハビリを行うことになります。

このリハビリは長期に及ぶことがあるので、備えを考えておくことが必要です。

ただし、リハビリについて入院給付金が支払われるとは限りません。たとえば通院でリハビリを行えば当然、入院給付金はもらえません。

また、リハビリ施設でリハビリを行う場合は入院の定義(病院または診療所という部分)にあたりませんので、入院給付金の支払い対象にはなりません。

そのため、脳血管疾患の備えは貯蓄にするか、3大疾病にかかると一時金が支払われる保険を活用するほうが安心ではないかと考えています。

平均在院日数の93.0日という日数がどのようにして求められたのかは不明ですが、実際の治療過程を考えると、この数字にはあまりとらわれないほうが良いかもしれません。

脳血管疾患の場合は入院給付金があまり役立たないことがあるかもしれません。

高齢になってからの療養病床での入院

療養病床における高齢者の入院は治療が目的ではなく、病状が安定している人を対象にして医療措置やリハビリなどを行うことが目的です。

そのため、高齢者が療養病床に入院している場合、先述した医療保険の入院の定義を満たさないことが多いと考えられるので、おそらく入院給付金は支払われないでしょう。

そのため、こうした場合の費用は貯蓄で備えるのが有効と考えています。

データではわからない入院もたくさんある

以上のほか、データに出てこない長期入院というのもあります。

1つは急性骨髄性白血病で、半年~1年近く入院することがあります(入退院を繰り返します)。
参考:急性骨髄性白血病(AML)の患者さまとご家族へ|AML BOOK(13ページ)

また、重症急性膵炎(膵臓の炎症が重症化したもの)の場合、1カ月~6カ月の入院が必要です。
参考:急性すい炎の治療方法や治療期間、手術方法について|NHK健康ch

このほかにも例外的なケースはたくさんあるでしょう。すべてのケースを知り尽くすのは難しいですが、継続して保険に関心を持っているとこうした情報には目が行くもので、ときどき見かけることがあります。

結局、1入院あたりの支払限度日数はどうすべき?

入院のデータをいろいろ見てきましたが、想定外の長期入院となったときに役立ってこそ医療保険と言えないでしょうか。

たとえば、統合失調症や気分障害を発症するのは若い人のほうが多いです。しかし、若いうちは貯蓄で対応することが難しいでしょう。だから、保険で備えることには一定の価値があると言えます。

また、仮に先述した重症急性膵炎で180日間入院することになったのに、60日型の医療保険にしか加入していなかったとします。残りの120日については医療保険からの給付はありませんので、治療費や収入の減少分については貯蓄でまかなうことになります。

このように長期間入院することはまれではありますが、こういうときに役立たなくて保険と言えますか?

逆に、盲腸のような、相対的に軽い病気での入院が保険でカバーできることにはあまり意味はありません。こうした短期間の病気なら貯蓄でも十分、対応できます。

そのため、私は想定外に入院が長期間に及んだときに医療保険が力を発揮してくれることを期待して、1入院あたりの支払限度日数は180日型または360日型にすることをおすすめします。

なお、こうした1入院あたりの支払限度日数が長い商品は、ネットや通販では加入できないことが多いです。そのため、保険代理店に行って加入することが必要です。

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3大疾病で入院限度日数を延長するタイプの注意点

最近は、普通の入院の支払限度日数を60日にしておいて、3大疾病または7大疾病だけ無制限にするタイプや日数を延長するタイプが多くなっています。

ちなみに3大疾病はがん(悪性新生物、急性心筋梗塞、脳卒中)、7疾病はこれに加えて高血圧性疾患、糖尿病、肝疾患、腎疾患が対象になっていることが多いです。

これはこれで悪くないのですが、精神疾患やこれら以外の病気による長期入院では保障されない(基本の日数での保障になる)点に注意してください。

なお、商品によっては「ストレス性疾病」と言う呼び方で対象としているものもあります。

医療保険の商品性は年々、改善されていると感じます。

医療保険の具体例

医療保険のうち、以上のような点に配慮された商品がいくつかありますので紹介しておきます。

オリックス生命「新CURE」

オリックス生命の新CUREは、3大疾病の支払い日数を無制限、3大疾病以外の7大生活習慣病の支払い日数を120日としています。

ソニー生命「メディカル・ベネフィット」

ソニー生命のメディカル・ベネフィットは、1入院あたりの支払い限度日数を60日型・120日型・360日型から選べます。また、3疾病では無制限となります。

チューリッヒ生命「終身医療保険プレミアムDX」

チューリッヒ生命の終身医療保険プレミアムDXでは、7大疾病の入院は無制限で保障されます。また、ストレス性疾病延長入院特約を付加すると、所定のストレス性疾病の場合は保障日数が365日になります。

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おわりに

1入院あたりの支払限度日数についてはさまざまな意見があります。この記事では、あくまで私の意見をお伝えしたにすぎず、反対意見を持った人もいることでしょう。

私は医療保険が保険である以上、本当に困るようなケースで役に立たないとあまり意味がないと考えているので、支払限度日数は長めにすることをおすすめしているのです。

ただし、言うまでもなく支払限度日数を長くすると保険料も高くなります。

そのため、保険で備えるのは現役世代の間だけにして、高齢になってからの備えは貯蓄で対応するのが今のところ良いのではないかと考えています。