医療費の備え方と医療保険の選び方

医療保険の選び方についてはさまざまな意見があり、人によって言うことが違っているというのが現実です。そこでこの記事では、医療保険に加入したいと考える人に対し、私ならどのようにアドバイスするかまとめました。

FP横山

医療保険はFPの間でも意見がわかれ、明確な結論が出ていないのが現状です

生涯においてどんな入院の可能性があるのか

普通の入院による負担はそれほど大きくはない

盲腸や腸閉塞のような、入院して治療をすれば治る病気で入院する場合、入院すること自体もめったにありませんし、1回の医療費(自己負担額)はそれほど高額にはなりません。詳しくは以下の記事をご覧ください。
1週間の入院にかかる費用の目安を計算する方法

なお、70歳未満の自己負担額についての早見表は以下のとおりです。病院ベースの医療費が高額になっても、自己負担額はそれほど変わらないということがわかるのではないかと思います。

所得区分各医療費総額の自己負担額(単位:円)
300,000円の場合500,000円の場合1,000,000円の場合2,000,000円の場合
年収約1,160円~90,000150,000254,180264,180
年収約770~約1,160万円90,000150,000171,820181,820
年収約370~約770万円80,43082,43087,43097,430
~年収約370万円57,60057,60057,60057,600
住民税非課税者35,40035,40035,40035,400

がんはまったく別

がんについてはお金のかかり方が普通の病気と大きく違います。詳しくは以下の記事をご覧ください。
がんにどう備えるべきか、がん保険は必要か

脳卒中は十分な対策が必要

がん以外の病気で備えをしっかり考えておく必要性が高いのが脳卒中(脳血管疾患)です。

1年間で脳卒中にかかる人の数については厚生労働省によるデータがないのですが、「滋賀県脳卒中発症登録事業」のデータにもとづいて日本全国の数値を推計した結果によると、1年間で約29万人(うち再発は7万人)ほどの人が罹患しているとのことです。
参考:日本の脳卒中の発症者は年間29万人 半分以上が死亡や介護が必要な状態に|大人の健康生活ガイド

脳卒中の場合は急性期の治療を終えるとリハビリをする必要があります。急性期の入院期間については病気によって異なりますが、くも膜下出血なら3~6週間、脳梗塞(軽度)なら10~14日間、脳内出血なら2~3週間が目安です。
参考:入院期間の目安|新百合ヶ丘総合病院

リハビリは半年以上の長期に及ぶことがあります。リハビリは通所・通院で行うこともあれば、リハビリ病院に入院して行うケースもあります。また、体の機能が低下することが多いため、それまでの仕事を続けられなくなるリスクもあります。

なお、脳血管疾患の治療については以下の記事が参考になります。
参考:事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン 参考資料 脳卒中に関する留意事項|厚生労働省

また、「脳卒中」と「脳血管疾患」の違いについてはFWD富士生命のパンフレットにわかりやすい説明がありました(出典は患者調査となっていますが現時点で数値の確認は取れていません)。非常にわかりやすいので、画像で引用させていただきました。

急性心筋梗塞は金銭面では大きな心配は不要

急性心筋梗塞を含む心疾患の治療は健康保険が使えます。入院治療をする場合の平均在院日数は20日程度なので、あらかじめ可能性を想定してれば貯蓄でも十分、備えられます。

なお、心疾患の医療費(病院ベース)については日本心臓財団のホームページに掲載されています。最も安いのは睡眠時無呼吸症候群の10~20万円ですが、最も高いのは「大血管転移と動脈管開存症」という症状「ジャテーン手術」というもので、800~1500万円程度の費用がかかるとのことです。
参考:心臓病に対する治療や手術の費用について|日本心臓財団

医療費がこれだけ高額になったとしても、仮に年収が300万円の世帯であれば自己負担額は57,600円に差額ベッド代や諸雑費を加えた金額で済みます。高額療養費制度が大きく効果を発揮する局面です。

精神疾患についても知っておくべき

精神疾患の概要

精神疾患の患者数については厚生労働省が参考になる資料を開示しています。以下、これにもとづいて考えていきます。
参考:参考資料|厚生労働省

同資料によると、平成26年における精神疾患を有する患者の総数は約392.4万人です。精神疾患で最も多いのが気分障害(111.6万人)で、統合失調症(77.3万人)、認知症(67.8万人)、神経症性障害(72.4万人)も多くの割合を占めています。

精神疾患を原因とする入院患者数は約31.3万人で、最も多いのが統合失調症(16.6万人)、次いで多いのが認知症(7.7万人)、気分障害(2.9万人)です。以上のデータから単純計算すると、総患者数に対する入院患者数の割合が高いのは統合失調症(約21%)と認知症(約11%)です。

精神病床における退院患者の平均在院日数は減り続けていますが、平成26年は281日となっています。3カ月未満の退院が最も多いですが、中には5年以上の入院をしている患者もいます。まずここまでがおおまかな傾向です。

統合失調症

統合失調症とは、「現実とのつながりの喪失(精神病)、幻覚(通常は幻聴)、妄想(誤った強い思い込み)、異常な思考や行動、感情表現の減少、意欲の低下、日常的な役割の遂行(仕事、対人関係、身の周りの管理など)に関する問題を特徴とする精神障害」(MSDマニュアル家庭版より引用)です。

統合失調症の患者は世界的に見られ、約1%の人が発症し、主に若者に多い病気です。遺伝的な要因と環境的な要因が組み合わさって発症すると言われており、両親や兄弟姉妹に有病者がいる場合の発症率は約10%というデータもあります。

厚生労働省が公表している「長期入院精神障害者をめぐる現状」というデータによると、1年以上の入院をしている統合失調症の患者数は約13万人(平成23年)です。先述のデータで平成26年の入院患者数が16.6万人であることを考えると、入院期間は長期に及ぶことが多く、その可能性を考えておく必要があると言えそうです。
参考:長期入院精神障害者をめぐる現状|厚生労働省

MSDマニュアル家庭版によれば若年層の患者が多いということですが、年齢階級別の資料を見ると、入院患者の大半は45歳以上であるということがわかります。

認知症による入院

認知症を発症する確率ですが、厚生労働省のデータによると、65歳以上の人口に対する痴呆性老人の出現率は、2020年には8.9%になると予想されています。
参考:認知症|厚生労働省

認知症の入院期間についての良いデータが見つからないのですが、NHK/クローズアップ現代が取材した例では半数以上が1年を超える入院となっているようです。
参考:“帰れない”認知症高齢者 急増する精神科入院|NHK

認知症は完治しない病気ですし、入院させておくことが本人にとってマイナスになることもあるでしょうから、退院できるときは退院して入院が必要なときだけ入院になるのではないかと考えられます。

気分障害(うつ病、双極性障害)

気分障害とは、食欲の減退や集中力の低下、自殺願望などの症状が出るうつ病、気分が高揚する、いらいらする、注意が散漫になるなどの症状がでる躁状態、両者が交互にみられる双極性状態の総称です。

先述した資料によると、平成26年における気分障害による患者の総数は約111.6万人で、そのうち入院患者数は約2.9万人です。

入院治療を行う場合の入院期間については厚生労働省のデータが見つからないため病院のホームページを探したところ、うつ病についてはおよそ1~3カ月程度の期間を目安として治療を行うことが多いようです。ただし再発率が高く、日本うつ病学会のデータによれば5年以内に40~60%程度が再発するとのことです。双極性障害については入院をするケースは少ないようです。
参考:うつ病|前田クリニック

手術を伴う治療を行うわけではないので医療費が高額になるわけではありませんが、仕事を休むことで収入が減少する可能性を考慮する必要はあるでしょう。

難病の経済的負担はさまざま

厚生労働省から指定されている「指定難病」は2018年8月25日現在、全部で331種類あります。
参考:指定難病|厚生労働省

指定難病に指定されている難病にかかり、重症度が一定の基準を満たしている場合は難病法による補助を受けることができます。
参考:指定難病患者への医療費助成制度のご案内|難病情報センター

一口に難病といっても必ず入院するわけではなく、働くことができないとは限りません。安倍総理が「潰瘍性大腸炎」という難病にかかっていることは有名ですが、総理大臣という激務を何年もこなしています。

難病の中には厚生労働省から指定されていないものもあるようですし、その医療費のかかり方はよくわからないところが多いです。引き続き調査していきます。

ケガの場合も忘れずに

社会医療財団法人慈泉会 相澤病院のホームページによると、平成28年において大腿骨頚部・転子部骨折で入院して手術をした患者の術後における平均在院日数は21.5日となっています。
参考:大腿骨頚部・転子部骨折について|相澤病院

医療保険を検討するうえで骨折などのケガを考慮する人はあまりいないでしょうが、ケガも保障対象なので考えておく必要はあります。特に通院給付金が必要かどうかを判断するときに必要です。

言うまでもなくケガでも健康保険が使えますので、健康保険による治療であれば高額な治療費にはなりませんが、歩くのが辛いのでタクシーを利用するなど健康保険が使えない出費が増える可能性があることは考えておいたほうが良いでしょう。

医療費の備え方と医療保険の選び方

医療保険は万能ではない

医療保険は「医療」保険という名前ですが、医療費の備えとしては万全な商品ではありません。正確には「入院」保険と呼ぶべき商品です。そのため、通院をメインとして治療する病気の備えにはなりません。

また、医療保険は1入院あたりの給付金支払い限度日数が短いと長期の入院には対応できませんが、短めの日数で加入していることが多いです。医療保険に加入しているから安心という間違った認識をもっていると、いざというときに期待はずれだったということが起きます。

そのため、医療保険には頼り切らず、必ず並行して医療費を意識した貯蓄をしておくことが必要です。

保険期間は定期か終身か

私は終身で加入し、不要になったら解約することを検討すべきと考えています。

医療費の保障は生涯、欲しいと思う人が多いのではないでしょうか。しかし、私は生涯の医療費を医療保険で確保することが最善と考えていません。医療保険は入院しか保障の対象となりませんし、通院で高額な医療費がかかることもあるからです。

また、受け取れる保険金も火災保険や自動車保険の対人賠償保険のような高額になるわけではないので、費用対効果が今ひとつです。貯蓄がしっかりできていれば、医療保険に入っていなくても入院費用はまかなうことができます。

そのため、終身で加入しておいて、不要になったら解約するという前提で加入するのが良いと考えています。ただし実際にはなかなか解約するのが難しいのではないかとも思います。

1日あたりの入院給付金はいくらにすべき?

1日あたりの入院費用はいくらかかる?

入院給付金については、私は1日あたり5,000円程度にすることをおすすめします。

入院給付金の日額は、入院すると1日あたりいくらかかるのかという点から考えれば良いですが、これは単純計算ができません。なぜなら高額療養費制度があるので、1日あたりの入院費用が日数に比例しないことが多いからです。例を挙げて解説してみます。

【例1】7日間入院し、医療費の総額(病院ベース)が40万円の場合

80,100円+(400,000円-267,000円)×1%=81,430円
81,430円÷7日≒11,632円

【例2】30日間入院し、医療費の総額が100万円の場合

80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1%=87,430円
87,430円÷30日≒2,914円

※70歳未満、一般的な所得の場合で計算しています。

1日あたりの費用は、入院期間が短い方が高くなっていますよね。医療費が高くなるのは手術を受けたときが多いので、こういうお金のかかり方になります。

あと、これに雑費(テレビ代、身の回り品の購入費など)や差額ベッド代(使用したときのみ)が上乗せされて、1日あたりの入院費用が決まります。この点については以下の記事で書いていますので、そちらを参考にしてください。
1週間の入院にかかる費用の目安を計算する方法

気にするべきなのは長期の入院

1日あたりの入院給付金を決めるときに気にするべきなのは本来、長期の入院をしたときです。

【例】90日間入院し、1カ月目は150万円、2カ月目と3カ月目は50万円の医療費が発生した場合

1ヶ月目:80,100円+(1,500,000円-267,000円)×1%=92,430円 1日あたり3,081円
2カ月目と3ヶ月目:80,100円+(500,000円-267,000円)×1%=82,430円 1日あたり2,747円

これに雑費を上乗せして、1日あたり5,000円くらいの給付金を受け取れたら助かるのではないでしょうか。5,000円では足りないこともあるでしょうが、入院費用のすべてを医療保険でまかなわなければいけないわけではありません。足りない分は貯蓄で補えばよいのです。

保険に頼りすぎるのを防ぐ意味合いも含め、私は医療保険に加入するなら1日5,000円程度にしておくのが良いと考えています。医療費の備えは保険だけに頼るのではなく、貯蓄も活用することが大事です。

若くて貯蓄がなく、入院すると10万円~20万円程度の出費でも困る状況なら、月1,000円程度の保険料で加入できる最低限の医療保険に入っておくのも1つの方法です。

1回の入院(1入院)あたりの保障日数はどうする?

入院日数のデータ

厚生労働省は、平均在院日数について次のようなデータを公開しています。

ざっと見て、精神及び行動の障害と神経系の疾患を除けばそれほど長くないという印象をもったのではないでしょうか。しかし、このデータを見るうえで、間違えてはいけない点があります。それは次の2点です。

  • このデータはあくまで平均値であり、異常値も存在していること
  • 保険で備えるのは日数が長くなったときであり、平均が少ないから保障日数は少なくて良いということではない

1入院あたりの保障日数の種類

医療保険を選ぶうえではここが最も悩むべきところです。私自身も何度も考え方が変わりました。

1回の入院あたりの限度日数は一般的な60日や120日だけでなく、180日、365日、730日、1095日のような長期の入院を保障する商品もあります(365日以上の保障についてはホームページやパンフレットに記載されておらず、代理店で相談すると加入できることがあります)。なお、トータルでの限度日数は別に設けられていて、一般的には730日か1095日のいずれかです。

本当の意味で保険として機能させるなら365日以上の長い保障にしておくのがおすすめですが、保険料が高くなります。確率の低いものは無視するのか、それとも確率の低い事例についても備えられるのが本来の保険であると考えるのか、ここは加入する人の考え方によって結論が変わると言えるでしょう。

保険料の払込期間

保険料の払込期間は、終身払いをおすすめします。

保険料の払い方は、保険期間にわたってずっと払い続ける方法もあれば(終身払い)、60歳払済のようにある程度の年齢で払い終えるタイプもあります。

短期間で払う方が保険料の総額は安くなりますが、不要になったら解約するつもりで加入するなら、終身払いの月払いにしておくのがおすすめです。その方が毎月の保険料が安いからです。

特約について

医療保険にはさまざまな特約をつけることができます。たくさんつければ安心という印象もあるでしょうが、安易につけると保険料もその分、上がります。ここではそれぞれの特約について、その必要性について解説します。

三大疾病特約は必要か

保障内容によってはつけても良い

三大疾病特約は保障内容により、つけても良いです。

三大疾病とは、がん、急性心筋梗塞、脳卒中を指します。これらは三大死因でもありますので、備えを考えておくことは大事です。

急性心筋梗塞は重い病気ですが、高額療養費制度がうまく機能するので高額な自己負担は生じないです。しかし、がんや脳卒中はまとまったお金がかかる可能性があります。そのときに備えて一時金が出るように入っておくのは合理的です。

ただし、特約は主契約である医療保険を解約すると一緒になくなってしまいまう点に注意してください。

保険金の支払い条件に注意!

三大疾病特約の中には、急性心筋梗塞と脳卒中の場合、罹患して60日以上、労働の制限を受ける場合のみ保険金を支払うという厳しい条件がついていることがあります。ここは非常に大事なポイントなので、この特約をつけるなら保険金の支払い条件を必ず確認してください。

一例として、日本生命の3大疾病保障保険(特約ではなく単体の保険)を挙げますと、急性心筋梗塞や脳卒中に罹患した場合の保険金支払条件は、約款において次のように書かれています。

初めて医師の診療を受けた日から60日以上労働の制限を必要とする状態が継続したと診断されたとき

そして、労働の制限を必要とする状態については次のように書かれています。

軽い家事等の軽労働や事務等の座業はできるが、それ以上の活動では制限を必要とする状態

引用元:ニッセイみらいのカタチ 約款

また、がんについては上皮内新生物(良性のがんと考えれば良いです)は保障されないことが一般的です。こちらも確認しておきましょう。

がん特約は必要か

がん特約は、がん保険に加入しないならつけても良いです。

私はがん保険の加入をおすすめしているので、がん特約は内容次第でつけても良いと考えています。がんの保障は一時金で備えるのがベストと考えているため、一時金が出る特約がおすすめです。

がんの備えはがん保険にすべきですが、一時金のみで加入できるがん保険が少ないので、医療保険に一時金だけつけるというのは選択肢として考えても良いです。ただし、医療保険を解約したら一時金の特約もなくなる点に注意してください。

がん保険の選び方については以下の記事で書きましたので、そちらをご覧ください。
がんにどう備えるべきか、がん保険は必要か

先進医療特約は必要か

先進医療特約は、がん保険に入っていてそちらでつけている場合を除き、加入しておくことをおすすめします。

先進医療特約の保険料は月に100円くらいと安いので、気になるならつけておいて良いと思います。先進医療特約については以下の記事でまとめていますので、そちらをご覧ください。
先進医療特約をおすすめする理由

女性特約は必要か

女性特約はつけなくて良いです。

女性特約は、女性に多い病気の保障を手厚くする特約です。女性に多い病気とは、乳がんや子宮筋腫、卵巣のう腫、帝王切開などです。また、女性特約(女性保険)の特徴として、貯蓄型になっていることも多くあります。

基本的には女性特有の病気だからという理由で治療費が変わるわけではありませんので、この特約は不要です。定期的にボーナスが出る商品は、その分の保険料を上乗せして払っているだけと言っても過言ではありませんので意味はありません。

通院特約は必要か

通院特約はつけなくて良いです。

通院特約で保障される通院は、入院の前後に行われた場合における、その入院に関連した通院です。そのため、通院のみで治療が行われた場合は通院給付金は支払われません。

入院前後の通院は日数も多くありませんし、1回の医療費もたいした金額にはなりません。また、受け取れる期間も退院後、120日までなどと定められているのが一般的なので、付けなくても良いでしょう。通院による治療費については貯蓄で備えるのが向いています。また、がんの通院治療に備えたいのであればがん保険に加入するべきです。

医療保険の不安材料

ここまで、病気の種類ごとの解説において長期入院の可能性を示唆してきました。そして、長期入院に対応できる医療保険があることも先述したとおりです。

ただし、入院と名が付けば何でも保険会社が保険金を支払ってくれるわけではありません。

医療保険では「治療を目的とする入院」に対して入院給付金が支払われます。そのため、美容上の処置、正常分娩、疾病を直接の目的としない不妊手術、人間ドック、通院が不便であることを理由とする入院については対象になりません。

ここまでは普通の人なら納得するでしょうが、一般的な医療保険の約款には入院の定義として次のように書かれています。

「入院」とは、医師(柔道整復師を含む)による治療(柔道整復師による施術を含む)が必要であり、かつ自宅等での治療が困難なため、病院または診療所に入り、常に医師の管理下において治療に専念することをいいます。

このうち「常に医師の管理下において治療に専念する」という文言が曲者で、ここが給付金の支払いにおいて引っかかる可能性があるところです。そのため、精神疾患や認知症、脳卒中で入院しているようなときに、きちんと日数分の給付が受けられるかどうかという点が気になるところです。

したがって、医療保険に加入するうえでは世間一般では入院にあたるものでも、必ず入院給付金が支払われるとは限らないということを考慮しておくことが必要です。

まとめ

医療保険は不要だという人も多くいますが(特にファイナンシャルプランナー)、私はそこまで言い切れないと考えています。なぜなら、医療保険に入っていた方が良いケースも実際にあるからです。

ただし、その確率が低いのと、医療費は入院でかかることばかりではないという理由から、保険に頼りきらないことをおすすめしています。若い人で目先の治療費が用意できない場合や、何となく入っていないと不安という人は加入しても良いでしょう。

医療保険は医療費の備えとして万能な商品ではありません。そのため、医療保険に入っても、それだけで安心してしまわないように気を付けてください。特に、高齢になってからは介護のことも考えておく必要があります。どのようなお金のかかり方をするのかが予想しにくいので、医療費・介護費用を意識した貯蓄も忘れずに行ってください。