弁護士費用保険「Mikata」を検討してみた

不当解雇、相続、離婚、いじめなど、身の回りには様々なトラブルがあります。弁護士に問題解決を依頼すると高額な費用がかかる可能性がありますが、これに備える保険があります。この記事ではその1つである、プリベント少額短期保険が販売する弁護士費用保険「Mikata」(ミカタ)の内容について考えてみました。

FP横山

期待し過ぎは禁物、かもしれません

弁護士に依頼するとかかる費用

「Mikata」とは、日常生活において生じた法的トラブルの解決で弁護士に依頼した際に生じた費用を補償する保険です。
参考:弁護士保険「Mikata」公式サイト

「Mikata」への加入を検討する前に、まず弁護士に依頼するとかかる費用について整理しましょう。弁護士に依頼する場合、おおむね次の3つの費用が発生すると考えてください。

  • 法律相談料
  • まず、依頼する前の相談で1時間あたり5,000円~10,000円くらいの料金がかかります。高いと感じるかもしれませんが、専門家を1時間拘束すればこのくらいの料金がかかるのは自然です。例えば整体とかマッサージのように人を1人拘束する場合、1時間あたりの相場は5,000円くらいですよね。ですから弁護士でこの料金ならむしろ安いのかもしれません。

  • 着手金
  • 着手金は正式に依頼をする時に支払う必要があります。およそ10万円~30万円くらいと考えておけば良いです。

  • 報酬金その他
  • 報酬金は固定された金額と、相談者が得る経済的な利益(例えば離婚慰謝料など)に比例して支払うものがあります。そのため経済的な利益の金額が高ければ弁護士に支払う報酬も高くなります。およそ利益の10%程度が相場のようです。この他、日当や実費を請求されることもありますが、弁護士によって変わってくるようです。

着手金については依頼した時点で支払う必要があります。報酬金については後払いで支払うことになります。弁護士に依頼する費用の相場は個人差が大きく、また、東京は他の地域と比べて高い傾向があるようです。
参考:弁護士にかかる費用:料金体系と相場|弁護士ドットコム

弁護士費用保険「Mikata」を契約する上での注意点

「Mikata」に加入していると、弁護士に相談や依頼をするときはそのすべてを保険金として支払ってもらえると思うかもしれませんが、その理解は正しくありません。どんなときにどのくらいの金額を受け取ることができるのかよく確認しておいてください。

刑事事件の場合は法律相談料保険金のみ

「Mikata」では法律相談料保険金と弁護士費用等保険金という2種類の保険金を受け取ることができます。

「Mikata」は加害者になった場合でも被害者になった場合でも使えるのですが、刑事事件については法律相談料保険金のみが請求できます。ただし、その刑事事件が原因で民事上の損害賠償請求をされたような場合は弁護士費用等保険金も請求できます。

「特定偶発事故」と「一般事件」では保険金の上限が違う

弁護士費用等保険金の対象となるのは「特定偶発事故」と「一般事件」の2つがあります。前者の保険金上限は300万円ですが、後者は100万円です。

特定偶発事故とは歩行中に自動車事故で被害者になった場合、自転車で他人にケガをさせたような場合、火災を原因とするトラブル、スポーツの最中における事故などが原因のものが対象です。

一般事件とは買った家が欠陥住宅だった場合、近隣との騒音トラブル、遺産相続や離婚、リストラで会社と争う場合などが対象です。

保険金の上限に違いがあるのはいいとしても、特定偶発事故よりも一般事件の上限のほうが金額が少ないのは理解しづらいです。なぜなら特定偶発事故は火災保険や自動車保険で対応できる場合が多く、弁護士に依頼して争いを解決するレベルになることは少ないのではないかと考えるからです。

むしろ、離婚トラブルや遺産を巡る争いなどのほうが弁護士に依頼する可能性を感じるのではないでしょうか。そして、そのほうが解決までに時間がかかり、弁護士費用もかさむのではないでしょうか。

そのため一般事件の保険金の上限が100万円というのは、やや保険としての機能が弱いと考えます。

かかった費用の全額が受け取れない

弁護士費用が保険金上限以内の金額だったとしても、その全額を受け取れるわけではありません。保険の対象となる人が受け取る保険金は、次の計算式で求めた金額になります。

保険金=(基準保険金額-免責金額)×縮小てん補割合(70%)

保険金を計算するもとになる金額を「基準保険金額」といいます。これは実際にかかった弁護士費用ではなく、約款に記載されている所定の計算式で求めます。また、ここから免責金額5万円を差し引き、さらにその金額に70%を乗じた金額が受け取れる保険金となります。

例えば基準保険金額が100万円の時は(1,000,000円-50,000円)×70%=665,000円になるということです。ただし5万円の免責金額は毎月630円の保険料を払うことでゼロにできます。

なお「基準保険金額」が定められている理由ですが、依頼する弁護士に制限がないことが原因ではないかと考えられます。同じ事例でも弁護士によって報酬の金額が違いますので、あらかじめ差が生じないようにしているのでしょう。

そのため報酬の高い腕のいい弁護士に依頼すると、支払った報酬のうち保険金として受け取れない金額の割合が高くなります。

保険が使えるようになるまでの待ち期間がある

弁護士費用等保険金には一般事件の場合、3ヶ月の待ち期間があります。また、離婚・相続・親族関係・リスク取引に関わる法的トラブルは待ち期間が1年です。この間に起きたトラブルについては補償されません。

こうした期間があるのはなぜかと言いますと、事前に弁護士への依頼が予測できる人ばかりが入ってしまうと、保険が成立しなくなってしまうからです。

保険は保険事故が起きない人からもお金をもらうことで成り立っています。全員が保険金をもらっていては成り立たないというわけです。

使えるのは基本的に本人のみ

この補償が使えるのは、基本的に保険に加入している本人のみです。そのため、配偶者のトラブルであっても使えません。

ただし、保険に加入している人の20歳未満の未婚の子に係る事故で、その人が監督義務者として損害賠償請求を受ける場合、または扶養義務者として支出した費用の請求をする場合は使えます。

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「Mikata」に加入するメリット

「Mikata」に加入すると次のようなメリットがあります。

  • 「弁護士に相談します」と言いやすい
  • 例えば他人とやや本気の口論になったときに「弁護士に相談します」と言えますし、自分の中で弁護士に依頼するという行為のハードルが下がるという心理的効果は意外と大きいです。

    タチの悪い人間は意外と多いので、いつでも対応できるように何らかの準備をしておくことは必要です。私はこの保険には加入していませんが、個人で顧問弁護士をつけています(ベリーベスト法律事務所)

  • 弁護士に直接、無料で相談できる時間がある
  • 平日の10時から14時までと時間は短いですが、弁護士に直接、無料で相談できます(相談できる時間は2017年7月頃に問い合わせて確認したときのものです)。

  • 法律以外の相談もできる
  • 年末年始を除いて24時間、悩み事を相談できる「なんでも悩み事相談ダイヤル」というサービスがあります。電話に出るのは弁護士ではありませんが、各分野の有資格者に相談できますので、日常の悩み事を解決するのに使えそうです。

おわりに

「Mikata」は保険金を支払う基準がわかりにくく、また受け取れる保険金の上限が少ないのではないかというのが私の見解です。

ただこれから住宅を買う予定がある人や、もしかしたら離婚するかもしれない人、会社から不当にリストラされてしまいそうだと感じている人などはこの保険に入っておくと心の拠り所になるかもしれません。

不担保期間に注意する必要がありますが、少し先に争いごとの可能性を感じているのであれば「Mikata」の加入を検討してみることをおすすめします。