新社会人はどんな保険に入るべきか

新社会人のあなたは、保険の勧誘をする側にとっては格好のターゲットです。また、新入社員という立場なので、上司や先輩から間違った保険の知識を吹き込まれる危険性もあります。この記事では、新社会人は保険をどのように考えるべきかについて解説します。

FP横山

先輩の言うことが正しいとは限りません!

保険料の目安にダマされるな!

他人と比較してはいけない

保険についての記事で、ときどき「毎月支払っている保険料の金額はいくら?」というアンケート結果を見かけることがあります。こうしたデータはほとんど参考になりませんので気にしないでください。

ホントかウソかも分からないデータを出し、「みんな入っているから」などと説得されると、保険に入っとかないとマズいかな……と考えてしまうのも無理はありません。

「保険料の目安は手取り収入の1%」などと書かれていることも多いですが、こんな数字は世間をミスリードする不適切な目安でしかありません。

「月1万円くらいなら負担できるし……」などとキリのいい数字を目安にして漠然と考えていると、保険相談員のいいカモにされかねませんので注意してください。

貯蓄型の保険と掛け捨ての保険では保険料が全くちがう

保険には「掛け捨ての保険」と「貯蓄型の保険」の2つがあります。

貯蓄型の保険は支払った保険料の大半、あるいはそれ以上の金額が戻るのが前提で、掛け捨ての保険は基本的に戻りません。

そのため保険金額は同じでも、貯蓄型の保険と掛け捨ての保険では支払う保険料の金額は大きく異なります。だから、この点を全く考慮せずに語られる目安というのはデタラメだとはっきり言えるのです。

アクサダイレクト生命のホームページで試算してみましょう。
参考:保険料シミュレーション|アクサダイレクト生命

22歳の男性が終身保険(貯蓄型の死亡保険)と定期保険(掛け捨ての死亡保険)に保険金額1,000万円で加入した場合の保険料は以下のとおりです。

  • 終身保険……12,570円(終身払)
  • 定期保険……2,490円(70歳まで)

厳密に条件は一緒ではありませんが、大きく違うということがわかります。これを平均した数値に意味がないことはわかりますよね。

保険選びをする前に知っておいてほしいこと

時間ができたら保険のことはしっかり考えてほしいのですが、その際に知っておいた方がいいことをいくつか解説します。

「乗合代理店」の存在

街中で保険ショップを見かけることが多くなりましたが、これらはすべて「乗合代理店」という保険代理店です。

「乗合代理店」とは複数の保険会社の商品を扱う保険代理店です。そのため1社専属の代理店と比べてより良い保険の提案を受けることができます。例えば保険見直し本舗では40社以上の保険会社の中から選びます。
参考:保険見直し本舗

保険料は長い間、払い続けるものです。そのため、総額ではかなりの金額になります。それを比較しないで決めるなんて今どきあり得ません。

乗合代理店の相談員はお客さんから必要な情報をヒアリングし、パソコンのソフトに入力した上で、あなたの条件に合う商品を提案します。したがって、何となく自分の売りたい商品をすすめるのではありません。

以下の動画は第一生命ほけんショップのものですが、イメージとしてはこんな感じだと思ってください。

私は「保険屋は保険を売りつける」時代は終わったと思っています。不要なものは断ればいいので一度、乗合代理店で相談してみましょう。

ネットで保険に加入するのはやめたほうが良い

保険はちょっと勉強したくらいでは分かりません。

私は保険の販売を始める前の時点で(今は販売していません)、日本FP協会が認定する「CFP」という上級ファイナンシャルプランナーの資格試験にも合格しました。でもその後、実際に保険の販売をやってみて、いかに自分が保険のことを分かっていなかったかということを痛感しました。

保険のことは、現場で保険を販売している人が一番良く知っています。普通の人がちょっと勉強したくらいでは良い保険を選ぶのは難しいです。

おすすめなのは良い乗合代理店を見つけ、そこをアドバイザーにしてしまうことです。信頼できる乗合代理店が1社見つかれば、その後の面倒な保険に関する手続き(住所変更や保険金請求など)をすべてまかせることができるので便利です。

自動車保険や火災保険くらいなら自分で学習してネットから加入しても大丈夫ですが、損害保険の相談もできますので、ぜひ信頼できる乗合代理店を探してみてください。

「共済は安い」というのは思い込み

「共済は安い」というのは「ドン・キホーテは安い」というのと同じようなものです。「ドン・キホーテ」は本当に安い商品が多いのかもしれませんが(実際はよく知りませんが)、共済はよく検討すると安くない商品も多いと感じます。

共済はセットで保障を販売する傾向があり、そのセットの中に不要なものが含まれているケースが多いです。保険(共済も含めた広い意味で)は主契約と特約から構成されますが、特約は基本的に自由に契約するかどうかを決められますので、不要なら外して契約したほうが保険料が安くなります。

保険は比較しづらくできているので、本当に安いかどうかの判断は難しいです。共済=安いというイメージ戦略が完全に成功しており、ちょっと保険について知っているつもりになっている人ほどドヤ顔でそう言う傾向がありますので注意してください。

保険は病気にかかってからだと加入しづらくなる

病気の種類や症状によって違いますが、持病があったり過去に大きな病気の経験があると保険に加入できなくなったり、保険料が普通の人よりも高くなったりします。そのため、加入したい保険があるなら大きな病気にかかる前に検討するのが望ましいです。

ちなみに女性にとっては妊娠も病気のような扱いになります。出産が終われば問題ありませんが、妊娠前は医療保険を検討するタイミングでもありますので、その点は注意しておいてください。

団体保険の存在

ある程度の規模の会社なら、団体保険というものが用意されていることが多いです。これは会社単位で保険会社と契約しているので、同じ程度の保険に加入するなら団体保険として加入したほうが保険料は安くなります。

会社の先輩や上司が保険をすすめる場合、この保険について話をしているのであれば、それはきちんと聞いた方がいいです。

ただこの団体保険は、会社を辞めてしまうと契約が終了という扱いになることが多いようです。そのため、その点をしっかりと確認しておきましょう。

なお、クレジットカードを持っていると、会員向けに「フリーケアプログラム」という案内が送られてくることがあります。これも団体保険の一種です。興味のある人は以下の記事をご覧ください。
「フリーケアプログラム」に入ってみた

健康保険に「高額療養費制度」というものがある

ダメな保険屋さんは、医療保険の加入に難色を示すと「入院したらどうするのですか?」という脅しをかけてきます。

実は、盲腸などごくありがちな病気による短期間の入院なら大金は必要ありません。入院したときに活躍するのが健康保険の「高額療養費制度」です。

このサイトをご覧の方の多くは3割負担で医療を受けているでしょうが、入院したときのように高額な医療費が医療機関で発生する場合、患者の自己負担額を大きく減らしてくれる仕組みです。

この制度のおかげで、ごく普通の入院なら医療費についてはそれほど心配する必要はありません。目安として10万円程度のお金があればたいていの人は何とかなります。詳しくは以下のサイトをご覧ください。
参考: 高額療養費パーフェクトマスター

最低限、いざというときにこの言葉を思い出せる程度には記憶しておいてください。

ダメな保険屋さんの見分け方

保険屋さんもピンからキリまでいます。お客さんのことを真剣に考えている立派な保険屋さんもたくさんいる一方で、ダメな保険屋さんもいるのが現実です。そこで、ダメな保険屋さんが保険営業の時に使うセールストークを解説します。

  • 「社会人は保険に入って一人前」
  • 一人前の社会人とは、きちんと仕事ができる人のことを言います。保険加入の有無なんて全く関係ありません。

  • 「みんな入っているから」
  • アバウトな話をする人がよく使う言葉が「みんな~」です。

    もしこのような説明を受けたら『生命保険文化センターのデータによれば、20代の保険加入率は男性が52.4%、女性が56.8%となっています。「みんな」とはどういう意味ですか?』と質問しましょう。
    参考:生命保険に加入している人はどれくらい?|生命保険文化センター

  • 「税金が安くなるから」
  • 保険に加入することで税金が少し安くなることは事実です(税法上の特典である「生命保険料控除」が使えるため)。

    そのため正しく活用できれば問題ありませんが、税金を安くしたいがために安易な勧誘に乗って不要な保険に入ってしまうと、それ以上に大きな損をする可能性があります。

    個人年金保険に入ると節税効果を加味することで利回りが良くなるという勧誘を受ける可能性がありますが、個人年金保険は契約期間が長いため、インフレリスクや中途解約リスクも大きいです。こうしたことを総合的に考慮しないと有利かどうかの判断はできません。

    保険に加入することで税金が安くなる効果はそれほど高くはありません。そのため節税を目的とし、あわてて保険に加入するというのはおすすめしません。

  • 「両親へのプレゼントに」
  • これは私が若い時、実際に受けたセールストークです。はっきり言いますが、非常にレベルの低い勧誘です。

    要するに私が死亡したとき両親に大金が下りる死亡保険に入っておけば、万が一の時にプレゼントになるという意味です。これが馬鹿げた話であることは、この記事を読んで下さっている方であれば説明しなくても分かるでしょう。

  • アメを渡してくる
  • 何気なく接してきてアメを渡してきたり、バレンタインデーに安っすいチョコレートをくれたりして、モノで釣ろうとする保険屋さんは99%くらいの確率でダメな保険屋さんですのでご注意ください(経験から)。

  • 「保険料はいくらなら払えるの?」
  • この質問を相談の最初のほうでしてくる人はダメな保険屋さんの最高峰です。

    保険は必要なだけ加入するのが当たり前なのですが、こういう質問を相談の初期でする人は、あなたから絞れるだけ保険料を絞り取ろうとしている可能性が高いです。

    もちろん、具体的に話が進んでいて予算オーバーという場合にこの質問をしているなら問題ありません。保険が家計を圧迫してしまうようでは困りますからね。

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しつこい保険営業の断り方

今はだいぶ減ったはずですが、会社などに出入りしている保険屋さんもまだいるでしょう。出勤するときに必ず通らないといけないような場所で待機していることが多く、加入する気のない人からすれば非常に迷惑な存在です。

そして、タイミングを見計らって営業をかけてくるわけですが、こうした営業をかけられた時は「友達が保険ショップで働いているんです」と言いましょう。

「親戚に保険屋さんがいますので」という断り方は昔から使われていて、いかにもウソくさいので、今風に言うならこの方がスマートです。

しつこい保険の営業マンやセールスレディというのは1つの保険会社の商品しか扱っていないことが多いです。保険ショップというのは複数の保険会社の商品を扱っているので、勝負したらまず勝てません。こう言われると保険を売る立場からすれば、この人に勧誘してもムダだなと考えるはずです。

大事なことは、しつこい保険屋さんに「完全に諦めさせる」ということです。一度話を聞いてやんわり断ろうとしても、別の提案をしてきたり、結論を迫ってきたりして面倒です。加入する気がないなら具体的な話を聞かないことが大事です。

新社会人におすすめする保険

無理に加入しなくてよい保険

新社会人が保険の相談に行くと、次の保険をすすめられる可能性が高いです。

  • 終身保険
  • 医療保険
  • がん保険
  • 個人年金保険

終身保険は葬式代の準備資金としてすすめられます。しかし、まだ20歳そこそこの人に葬式代の準備をすすめることほどナンセンスなことはありません。この点については以下の記事で解説しています。
終身保険で葬式代を準備する前に、葬式代を安くすることを考えるのが先

医療保険は必要と考える人のほうが多いでしょうが、医療保険はその判断が難しいです。少なくとも数日の入院治療で完治するのが当たり前の病気なら、10万円程度の貯蓄があれば対応できます。ここで触れると長くなるので、この点については後日、記事を書きます。

個人年金保険については先述したとおり、デメリットも大きいので積極的にはおすすめしません。それよりもキャリアアップなどの自己投資にお金を使うほうが良いでしょう。

がん保険は個人的におすすめ

ただし、がん保険だけは個人的におすすめしています。

若いうちにがんにかかった場合、何がなんでも治そうとするものです。進行したがんが見つかると、健康保険が使える治療では治らないこともあります。その時、ある程度まとまったお金があると選択肢が増え、治療に成功する可能性が高まります。

20代ならそれほど進行がんが見るかる確率は高くはありませんが、かかった人知れず苦しんでいるものです。そんな人たちの体験談を多く読みましたが、彼らから共通して出て来る言葉は「何で私が……」です。

そんな時に、がん保険からまとまったお金がもらえると助かります。ちなみに体験談は以下のサイトでたくさん読むことができます。
参考:TOBYO 闘病体験を共有する

がん保険の中には健康保険の使えない自由診療も保障してくれるものがあります。一例を挙げるとSBI損保のがん保険は23歳だと保険料が820円(診断保険金100万円、2018年8月試算)です。とりあえず入っておくというのも1つの方法です。詳しくは以下の記事に書いています。
SBI損保のがん保険をおすすめする理由

おわりに

新社会人のあなたには、保険のことよりも優先すべきことがたくさんあります。保険のことを考えるのは、職場や仕事に慣れ、一段落してからで十分間に合います。

しかし、落ち着いたらしっかりと時間を取って、人生のリスクと向き合うことは必要です。

本格的に相談したいなら、複数の保険会社の商品を扱っている「乗合代理店」がベストです。乗合代理店については以下の記事で詳しく解説していますので、そちらを参考にしてください。
保険に加入するなら「乗合代理店」一択。その理由を説明します